持続可能な社会を作りたい。

世界でも前例のないプラントで
地球環境の未来を切り拓きたい。

北村雄介 執行役員 生産統括部 部長

入社21年目。石坂産業の技術部門のトップ。創業者の時代に入社し、初代の焼却炉から現在の全天候型独立総合プラントまで、技術面に関して石坂産業を支え続けてきました。地球環境への関心がますます高まる中、その立っている場所は、間違いなく世界と時代の最先端。リサイクル率100%への熱い思いと情熱、そして積み重ねてきたオンリーワンの技術を、未来へと渡してくれる後継者を待ち望んでいます。

順番を待つ
ダンプカーたち

入社する前は、解体の現場で重機のオペレーターをやっていました。実は、私と石坂産業の出会いは、産業処理廃棄物を運ぶダンプが繋いでくれた縁です。産廃物を積んだダンプが石坂産業に持って行くと、なかなか帰ってこない。私は解体の現場で、ずっと待っていなければなりませんでした。何故だろうと思い、ダンプの運転手に聞いたところ「あそこ、いいんですよ。だから、並んじゃって」と答えが返ってきたのです。そこで、自分で行ってみると、ダンプがズラリと並んでいました。これはほんとにいい会社に違いないと思いましたね。重機オペレーターは日給の仕事。子どもができたのをきっかけに、月給制の会社で働きたいと思うようになり、石坂産業への転職を決めました。

それが21年前。私が入社した頃は、まだ、初代の焼却炉がありました。元々は重機オペレーターで入社したのですが、間もなく焼却のオペレーターをやっていた先輩が退社してしまった。そして、「北村さん、焼却のオペレーターやってもらえませんか」と相談されて、そこからすべてが始まりました。最初は、全くの門外漢。取扱説明書を読んでも、さっぱり分かりませんでした。ちょうどその時、新しい焼却炉が設置されて、メーカーの方から取り扱いを丁寧に教えて貰えたんです。これはチャンスと思い、一生懸命に勉強しました。ですから、焼却炉の廃止が決まった時は、人一倍、ショックでした。

ラインの変更は
10年間で12回

石坂産業が掲げている目標は、リサイクル率100%です。色々なものが「ごちゃ混ぜ」になっている産廃物を選別して、コンクリートを砂に、木をチップにしていきます。ですから、不要なものをいかに除去するかということが課題。焼却炉の廃止が決まって、総合プラントをリニューアルしたのが10年前。それから現在までラインのフローはすでに12回も変わっています。当初から、トラブル等のデータ、数値化はずっと続けています。最初は、私がノートに「このトラブルで機械が何分止まりました」という感じでつけていました。現在は、パソコンを使用していますが、そのノートは何十冊にもなりました。

ラインが現在の姿になるまでは様々な困難がありましたが、最も、記憶に残っているのがハイバウンドスクリーンという新しい機械を導入した時のこと。以前の機械は処理能力が低く、産廃物がラインの中を何度もグルグル回っていることがあったのです。そこで、より性能の高い機械を購入することにしました。

ウチのプラントはB棟、C棟、D棟に分かれています。本来は性能の高い機械をD棟に設置したかったのですが、従来の機械よりも大きくてスペースに収まりませんでした。しかし、プラントのスペースを拡大するには行政の許可が必要で、その許可が下りるのを待つと数年かかってしまう。そこで、最終的に、C棟に設置せざるを得ませんでした。そういった問題は、今も依然としてあります。

ひらめきとデータで
課題を解決

性能の高い機械を設置したにも関わらず、トラブルが発生してしまう。そこで、何年も取り続けていたデータを見返しました。しかし、何故だろうと考えても、原因が分からない。そんなある日、降水量のデータと見合わせた時に、もしかすると天気と関係があるのではないか?とひらめいたのです。その着想をもとに原因を追及していった結果、廃棄物の含水比が機械をストップさせるということが判明しました。

廃棄物を選別する際に篩(ふるい)にかける作業があります。こちらは機械を通して行うのですが、廃棄物に含まれる水の量が多いと廃棄物が篩に目詰まりして機械がストップしてしまうのです。最初は、どうにかして乾かそうとも思ったのですが、断念せざるを得ませんでした。戦う相手が自然となると、勝ち目はありません。現在は、なるべく濡らさないようにお客様にお願いするというかたちをとっています。

どんなトラブルがあっても、プラントのラインは止められません。廃棄物を積んだトラックは、今か今かと、順番を待っていますから。ラインを変更する時も、機械が止まってしまった場合のことも考えて設計しています。近年でラインを止めたのは一度だけ。それは、3.11の時。あの時ばかりは流石に止めました。人の命には、かえられません。

戦う相手は、木くず

「リサイクル化率100%」を目標にしてきて、現在、98%までできるようになりました。残り2%ですが、パーセンテージが下がれば下がるほど、難しくなります。例えば、コンクリートのかたまりをリサイクルする場合には、コンクリートに混じった陶磁器クズなどを選別し、コンクリートだけを回収することが大切です。残り2%となると、その選別が難しくなるのです。そこで、最近、導入が決まったのが色彩選別機。これは、コンクリートの中に混じっている余分なガラスや陶磁器クズを色で選別して、コンクリートだけを回収できる装置です。こちらを導入して、どれくらい原料化・リサイクル化が出来るのか。これから観察して、調査を進めていきたいと思っています。

また、現在、課題となっているのが、ボードやヘーベルといた建材の粒に木くずが入っていること。無機質と有機質のものを選別する際に、比重を基準にやろうとするとなかなかできません。そこで、開発しているのが、ラインの中で廃棄物をスキャン・解析して、正確に木くずをピッキングできるロボット。選別したものを後から人間がチェックしたり手を加えたりしなければならないとなると本末転倒になってしまいます。ですから、スピードよりも正確さを重視していますが、これがなかなか難しい。何もないところに木くずが流れてきたら拾えるとは思うのですが、粗雑になって流れてくるものの中から正確にピッキングするとなると、簡単にはいきません。どうやって識別するかが、今後のカギとなってくると思います。

リサイクル98%。残りの2%には、分別できない様々な含有物がある。

想いと技術を受け継いで欲しい

リサイクルという事業に関わる私たちは、日々の業務について真剣に考え、取り組んでいかなければいけません。目的を把握し、課題を見つけ出し、どうしたら改善できるかを、自ら考え、行動することが大切です。私はいつも悶々としています。ボードの粒に木くずが混じっているのを見つけるたびに「何とか、この木くずだけを選別できないものか」と、つい考えてしまう。例えば、磁力を使えば釘など磁力に反応する特性のあるものは選別できます。木くずを他と差別化できる特性が分かれば、選別できるはずなのです。では、その木くずの特性とは何か?答えは、まだ見つかっていません。

現在、リサイクルという事業は地球規模で考えなければならない時代です。これまでにご紹介した私たちの取り組みは、世界でも前例がないものばかり。このプラントで開発された技術は、地球環境の未来を切り拓く礎となりえます。そう、私たちは時代の先端に立っているのです。

日本では少子高齢化が進んでいますが、世界レベルでは人口は増え続け、数年後には90億人に達すると言われています。人口が増えると、廃棄物の量は、絶対に増えます。アジアや中南米の国々では不法投棄も多く、大気汚染となる焼却が続けられています。これから生まれてくるアジアや中南米の子どもたち。私たちが開発した技術は、その子どもたちの未来を美しくする変えることができます。将来的には、アジアや中南米につくられたプラントに、私たちがコンサルティングとして協力する機会も増えていくことが予想されます。外国では、きっと、日本では予想もできないことが起こるでしょう。しかし、現地で、現場で、自分で問題を解決できなければいけません。目の前にいる海外の子どもたち。その未来を美しく変えられるのは、リサイクル事業の現場で技術面から会社を支えてきた私たちだけ。新しく入社する方には、この想いを引き継いで欲しいと思っています。

解決方法が分からない時は、悶々とすればいいと思います。たとえ時間がかかっても、考え続けること。そうやって私は、道なき道を切り拓き、プラントで起こるトラブルを解決し続けてきたのですから。

ライター:佐藤 康生

(インタビュー内容は2017年8月の内容です)