新しい価値観で社会を進化させたい。

モノの価値を大切にする文化で
新しい経済循環を起こす。

2011年に設立され、わずか5年で年商200億円越えを達成した株式会社SOU 。ブランド品を買い取り販売するリユース業界において、世界を変えるような全く新しい、驚きのあるサービスや事業を創出してきた。2007年にSOUの前身となる『なんぼや』をスタートし大阪で成功をおさめ、2009年に東京へ進出。現在は、全国に40店舗以上を展開するほか、LINEで写真を送るだけで査定金額が分かる『LINEで査定』の実施、自社オークション『スターバイヤーズオークション』の開催など、時代に先駆けた取り組みを行っている。

「世界中のプライスをオープンにし、売買をスマートにする」を経営ビジョンとして、コンシェルジュによる質の高い接客と最新のテクノロジーの融合を目指す。今までにない価値を提供し続けることを自らに課し、業界の変革を続けている嵜本氏。モノの価値を知り、モノを大切にする文化の創出、さらには新しい経済循環の創造を目指し、日々走り続けている。

ずっと見ていた父親の背中

子どもの頃は、サッカーに明け暮れる毎日でした。高校3年生の時にガンバ大阪にスカウトされてプロの世界へ。その後4年間、サッカー選手生活をおくりましたが、プロとしての限界を感じ、父親が経営するリサイクルショップを手伝うことになります。父親がリサイクル事業を始めたのは40歳の頃。当時、私は小学生でした。週末に家族で行楽地などへ車で出かける時も、モノを処分したいというお客様から電話がかかってくれば、母親がダッシュボードから紙を取り出し、車を停めて住所と名前を紙に控えるといった生活でした。「価値の無くなったものを、価値のあるものに生まれ変わらせることができる」。と、家族の食卓の席でリサイクル事業の面白さを語っていました。私は、そんな父親の背中を見て育ったのです。私には兄が2人いますが、一足先に父親の会社で働いていました。プロのサッカー選手を引退し、自分がもっと活躍できる世界を模索していた私も、気が付くと父親の会社を手伝うことを決意していました。

当時、父親の会社は大阪では比較的規模の大きなリサイクルショップを経営していました。引き取り依頼のあった飲食店や一般家庭に伺い、白物家電や家具などをトラックに積み込み、汗を流しながらメンテナンスして店頭に並べるということをしていました。その後、2人の兄は飲食業界に身を転じましたが、リユースに面白さを感じていた私は、ブランド品を専門に取り扱う会社を設立することを決意したのです。

『なんぼや』スタート
そして、大阪から東京へ

父親の会社ではひとつのジャンルでしかなかったブランド品ですが、その専門店を立ち上げようと思った理由は、小さくて単価の高い商品に可能性を感じたからです。当時、百貨店などではラグジュアリーブランドの人気がとても高く、飛ぶように売れていました。しかし、それらを買い取ってくれる場所は質屋だけといった状況で、業界のイメージもあまり良くありませんでした。

2007年3月にSOUの前身となる『なんぼや』の1号店を大阪の難波にオープン。今から振り返ると「あんな状況でよくやっていたなぁ」と思いますが、当時はがむしゃらに、新しく始めた事業を軌道に乗せることに必死でした。誰でも自然にモノを売ることができる環境作りを目指し、明るく開放的な店舗づくりを心がけ、初めてリユースを利用する方にも入りやすい空間になるよう工夫しました。その努力が実を結び、難波店は大成功。勢いにのり、2年間で大阪に3店舗をオープンしました。業績は好調で、開店後、わずか3ヶ月で利益あがるという状態です。そして、「自分達がどこまでできるか勝負しよう」と、未知の領域である東京に進出することを決意。『なんぼや』という関西風の名前が東京で通用するのか?関西弁での接客は嫌われてしまうのではないか?など不安もありましたが、自分達が大阪で確立したビジネスモデルで勝負したいという想いを胸に、2009年の12月に関東進出の第1号店となる『なんぼや新宿店』をオープンしました。

リユースのイメージを変えたい

コンシェルジュの育成が会社のベースをつくる

SOUが急成長を遂げた大きな要因は、それまでのリユース業界にはなかった新しい取り組みに積極的にチャレンジしてきたことです。具体的には、まず接客の専門職としてコンシェルジュを確立し、接客力の向上に取り組みました。私がリユースを始めた頃、業界で一般的に行われていた接客は、商品の状態を見て相場と照らし合わせ金額を提示するだけというお粗末なものでした。言葉は悪いですが「商品を買いたたく」といった接客がほとんどだったのです。こうした接客に疑問を持っていた私は、接客について考え続けました。そして、自分が接客する際には、お客様に納得して頂けるよう、価格の決定について理由を説明することを心がけました。そして、お客様とお話をする際には、商品とお客様の出会いをお伺いし、購入に至るまでのストーリーや商品との思い出などをヒアリングすることにこだわりました。そのおかげで、『なんぼや』がつけた価格について「あなたの接客が良いからその価格でお譲りします。でも、本当は他店ではもっと高い値がついていたんですよ」と、お客様から嬉しい言葉を頂けるまでになりました。

リユース業界は、まだまだ世間からの評価が低いといえます。だからこそ、コンシェルジュの判断に大きな価値があると思っています。例えば、相場では100万円の商品があったとして、お客様のお話をお伺いしてコンシェルジュが120万円の価値があると思ったら、その時は、120万円で買い取ればいい。安く買い取ることだけが全てではありません。一度、満足して頂ければ、次の機会にも当店をご利用頂けるようになります。リユースのイメージを変えたいという気持ちは、現在でも、揺らぐことはありません。

アナログとITの融合

コンシェルジュによる接客力の向上とともに、業界内に先駆けてとりいれたのは、インターネットを利用したマーケティングです。当時、業界では販売促進を目的に広告をだす時は、折り込みチラシを作成することが一般的でした。そこで、紙からWebへと広告媒体を刷新。おかげで、お客様が必要としている情報をホームページに掲載することで、多くの方にお店に来て頂けるというサイクルを創りだすことができました。

さらに、LINEで写真を送るだけで査定額が分かる『LINEで査定』。2013年には、法人のお客様を対象としたブランド品等取引商品数15,000点以上を数える自社オークション『東京スターオークション(現:スターバイヤーズオークション)』を開設。LINE査定のユーザー登録は20万人を突破し、月に1度、数日間開催される自社オークションには全国から多くの方が訪れています。

コンシェルジュによるリアルな現場でのアナログな接客力と、ITなど最新のテクノロジーを組み合わせて事業展開することで、SOUは急成長を遂げることができたと言えます。『なんぼや』を創業した時からずっと模索し続けた店舗空間は、現在、サロンのようなリラックスできる空間になり、これまでのリユースのイメージとはかけ離れたものになっています。

月に1度、数日間開催される自社オークションには全国から多くのバイヤーが訪れる。

年商200億円の現状に
満足はしていない

「3~5年後、自分は何を語る事ができているだろうか」今なら考えることができる

2017年で設立6年を迎え年商は200億円を超える企業へと成長。しかし、私は現状に満足してはいません。なぜなら世界的に活躍している企業と比べれば、私たちはまだ遅れていると言わざるを得ないからです。彼らは、2~3年後に世の中がどうなっているのかを予想し、AIやビッグデータなどを活用しています。私もこれまでアナログとITを組み合わせた事業展開をしてきたつもりでした。しかし、データとして蓄積していれば、現在大きな資産となっているはずの顧客情報があります。この大切な情報をデータ化できていなかったのです。3年前に行動を起こしていれば、現在の売り上げは500億円を超えていたに違いありません。

当時もデータ化したほうが良いのではないかと、心のどこかで気がついていました。肌で感じ取ることはできていたにも関わらず、行動に移すことができていなかったのです。日々の業務におわれ余裕がなかったことも事実ですが、怠けていたと言わざるを得ません。

SOUがスタートして数年が経ち、組織が固まってきたことによって、こうして過去を振り返り、様々なことを考える時間があります。おかげで「3~5年後、自分は何を語る事ができているだろうか」。と、未来を見据えた構想を練り、経営者として視座を高く持てるようになりました。3年前は見えていなかったことを、はっきりと意識することができています。

新しい文化を創出する

現在、クローゼットの中でしまわれたままになっているブランド品や貴金属の資産総額は、日本全国では数十兆円とも言われています。使わないブランド品を売却すれば、そこで得たものを資金にして新しい商品を購入することができます。しかし、クローゼットにしまわれたままでは、1分、1秒ごとに価値が下がっていくだけ。もったいない話です。その商品を必要としている、欲しいと思っている人が、今、ここにいるにもかかわらず、人知れず劣化してしまう。私は、それは本当の意味でモノを大切にしていると言えないと思います。モノの価値を知り、モノを大切に思うなら、世の中で循環させたほうがモノは価値を損なわないのです。そして、この循環がひとつでも増えれば、経済活動はより活発になると言えます。個人の消費生活はより豊かになり、社会の中で、新しい経済循環を生んでいきます。

そこで「世界中のプライスをオープンにし、売買をスマートにする」を経営ビジョンとして、多くの人に「モノの価値を知り、モノを大切にする」という発想をして頂くために、アプリをリリースしました。それは、一般消費者がモノの価値を瞬時に知ることができるアプリです。現在のリユースのビジネスモデルは、モノの価値を知っているコンシェルジュと、モノの価値を知らないお客様が商談するというケースがほとんどです。このアプリを使用して頂ければ、お客様はモノの価値を事前に調べて、安心してリユースの店舗に足を運ぶことができるようになります。このアプリは、従来のビジネスモデルを根底から覆すことができると考えています。

SOUは「そうきたか!をつくる」という企業スローガンを掲げていますが、世の中のニーズを引き出し、先手を打たなければ、今までにない価値を提供することはできません。モノの価値がオープンになり、本当の意味でモノを大切にする。この価値観を世の中の常識にし、新しい文化を創出し、新しい未来を切り拓いていきます。

ライター:佐藤 康生

(インタビュー内容は2017年8月の内容です)