新しい価値観で社会を進化させたい。

日本の就職観を変えていく。
教育視点のインターンシップで。

未来電子テクノロジー株式会社
代表取締役 福本真士

利益度外視の“非経済”発想で、100名以上のインターンシップ生が活躍する未来電子テクノロジー。代表の福本氏は、毎日数多くの学生と接しながら、日本のインターンシップの課題を感じる中で、「GOunite」というユニークな解決策をリリース。この中小企業とスキルを求める学生を結び付ける新たなカタチのサービスは、日本の就職観を変えていく可能性を秘めている。もともと、俳優から芸人、営業、プログラマーを経て起業という異色の経歴で、「やりたいことを素直に実践してきた」という福本氏。同社の事業自体も、時代や社会とともに変化し「意味とバランスを感じられる社会を創造する」をミッションに、若い人たちが飛び出す就活に新たな価値観を創造し、一人ひとりのポテンシャルが正しく発揮できる社会の創造を目指している。

“非経済”でブランドを。
インターンシップで関西NO.1へ

未来電子テクノロジーは、ひとことで言えば、社会や企業の課題をクリエイティブで解決する会社。WebやSNS領域中心に、コンサルティングやマーケティング、アプリ開発やコンテンツ作成を行っています。社員は15名。でも、インターンの大学生は100名以上。おそらくインターンでは関西一有名じゃないでしょうか。利益は度外視。「なんでお金払ってまで、こんなたくさんのインターンを採るんやろう?」って思いませんか。これ、僕たちの会社では“非経済”と呼んでいますが、とても大切にしている考え方です。僕の中では、ブランディングの一環なんですね。「あの会社、なんでそんなことするの?」となれば、自然と情報が広がっていきます。

他にも、多くの企業は1日の実働時間が8時間ですが、僕たちの会社は7時間。残りの1時間を、フリーアクティビティの時間に当てて、仕事から離れてテーマを決めてディベートをやったり、最近では英語講座を週3日行っています。もともと、メンバーに外国人が増えてきたことや、海外から仕事の依頼がきたりして、社内環境として英語が必要になってきた。じゃあ、英語ペラペラにできるまでやろうぜ、と。講師も社員として採用しました。もちろん、学生にも開放。さらに先日新聞にも載りましたが、この英語講座を中小企業にも無料で開放することにしました。非経済ですよね。でも、外部との交流が深まれば、また新たな何かが生まれるかもしれません。

“教育”の視点がない
日本のインターンシップ

話をインターンに戻すと、1日に7、8名の学生が応募にやってきます。彼らと真剣に話している中で、日本におけるインターンの課題が明確に見えてきた。現状の多くのインターンは“採用型”か“体験型”。“採用型”は目的が採用のための母集団形成ですから、「新規事業を考えよう」といったキャッチーな内容になります。でも、入社後、いきなりそんな仕事は任されずに泥臭い仕事から始めていくわけです。そこにギャップが出てきます。また“体験型”は、学生は、責任と裁量のある仕事を体験できるという先入観を持っている。でも、多くは誰でもできる頼まれごとレベルを任されます。このように学生にとって誤解の多い状況が生まれているわけです。

一方、企業では、「なんで入社しない人を教えなければならないの」と口を揃えて言う。つまり、今の日本のインターンには“教育の視点”がないんです。だから学生もステップアップしない。ただ、中小企業にとって、今やインターンは採用に欠かすことのできないイベントですから、よりよく変えていかなければならない。このようなお互いに良くない状況を解決するために、課題を構造的に整理していくと、新しいビジネスが見えてきました。それが「GOunite」というリリースしたばかりのサービスです。まさに非経済からビジネスが芽生えてくるから、おもしろいのです。

https://www.gounite.com/
GOunite
“将来の仕事選びに失敗しないための「仕事の予備校」”

寿司は、
マニュアルでは握れない

「GOunite」は、簡単に言うと、学生が3カ月間に中小企業3社で就業体験できるサービス。学生はデザインや営業などの職種を選ぶと、僕たちが提携する企業に行ってもらいます。企業にとっては、知名度に関わらず学生が送り込まれるメリットがあります。

そもそも学生は、次の時代を生き抜く“スキル”を身につけることを望んでインターンに参加します。スキルとは、「やることは分かっていても、やり方を言葉にできないもの」です。たとえば、寿司を握るのって、わかっていてもできないじゃないですか。あれと一緒。よく混同されるのが、“マニュアル”で、これは「やり方を言葉にできるもの」です。学生が求めているのは、“マニュアル”ではなく“スキル”。でも、多くの中小企業さんが“教育”と呼んで教えているものは、ほとんどが“マニュアル”なんです。マニュアルはいくらやってもスキルに変わらない。

“マニュアルは、
どれだけ経験しても、
決して学生に求める
スキルにはならない”

では“スキル”をどう身につけるのか。やり方を言葉にできないのは、そこに見えない“カルチャー”という要素が存在するからです。それぞれの企業には、企業文化や「言わずもがな」の言語化されていないものがあり、その下に仕事が成り立っている。だから同じ“営業”という職種名でも企業によってやり方は違う。当然、身につくスキルも変わるわけです。これらに注意を払いながら、「カルチャーを探る」「スキルを学ぶ」という教育視点を取り入れたプログラムを、僕たちが企業ごとに作成して、学生に就業体験してもらいます。

「GOunite」で、
日本の就職観を変えていく

学生は、1企業1ヶ月でツアーする中で、その企業のカルチャーをつかみ、スキルを身につけられる。また、企業からのフィードバックももらえますから、さらなる成長へとステップアップしていくことが可能になります。また、学生には企業カルチャーや仕事での気づきなど“体験記”を書いてもらって企業へフィードバックします。つまり、企業にとっては学生からの体験記を手にすることで、カルチャーの明確化や今後の採用教育に役立てることができるわけです。

まだまだスタートしたばかりで、さらにクオリティを上げていくことが必要ですが、「GOunite」が企業に広がっていけば、同じ営業という仕事でも、A社B社C社…それぞれに定義の仕事図鑑のようなものが完成します。それを学生が見て、本当にやりたい仕事を選ぶというようなことになれば、従来の大手偏重の就職観は変わるかもしれません。そして、ゆくゆくは「GOunite」のしくみを30歳までの社会人に広げていきたい。いわば転職インターンのようなものですね。大手企業に入ったものの違和感を感じている人が、「GOunite」を使って次のステップへと進んでいけば、もっと働きがいある世の中になるんじゃないでしょうか。

”ゆくゆくは「GOunite」が30歳までの社会人にとっての転職インターンという位置付けになるかもしれません。”

踏み出して
飽きるほどやれば、
やりたいことが見えてくる

そういう自分は、インターンどころか就職活動さえしませんでした(笑)。大学時代は映画ばっかり見ていて、「あのエンドロールに名前を載せたい」と思って、役者を目指したんです。それは実現できたんですが、自分のパフォーマンスに対してフィードバックに時間がかかる。だったら漫才の方が早いと思って、芸人になった。それだけでは食えないので、当時ADSL(光回線)の電話営業をやったら、これがめちゃくちゃ売れて、全国トップセールスになりました。お金もありましたし、次は海外旅行にはまった。それであるとき、タイのプーケットにいったら、衝撃的な光景に出会ったんです。ヨーロッパ人の家族が子どもを遊ばせながら、お父さんはビーチでMac使って仕事をしているんですよ。当時日本にはなかったWifiが飛んでいたんですよね。もう、「これや!」とひらめいた。自分で起業してやろうと思って、芸人も営業も全部やめた。ところが、技術も何もないので、外注しようと思ったらとんでもない金額をふっかけられて、「こりゃ無理や」と。お金もらいながらITの勉強をしようと思って、あるベンチャー企業に入社。2年間、プログラマーをやっていました。未経験から始めて、死に物狂いでやったら3ヶ月ぐらいで、ほとんどのプログラムが書けるようになりました。

まあ、小さな頃から自分でも凄まじい好奇心でしたが、飽きるのも早い。次々とやりたいことが変わりました。でも、25歳を超えた頃に、やりたいことが円を描いていることに気がついた。「あ、またこれがやりたくなった」みたいな。いろいろ飽きるまでやってみれば、いずれ自分のやりたい輪郭がはっきり見えてきます。今の学生を見ていると、「スキルが欲しい」なんて考えてばかりいないで、「行けよ」と思います。スーパーマリオで「ピーチ姫を助けたいから、ファイアー欲しい」と叫んでいる状態。ファイアーは進んだ先のハテナブロックにあるんやで、って(笑)

“やりたいことを、やり続けていると
その円が2週目に入ってくる。(笑)”

意味とバランスを
感じられる社会に

2010年に未来電子テクノロジーを立ち上げましたが、僕の人生と一緒で、やっている事業はどんどん変わっています。もともとは、クラウドソーシングみたいなことがやりたかったんですが、リスクがコストとして見えなかったので二の足を踏んでいた。それで、とりあえずということで、パソコンを安く作って高く売るサービスを開始しました。でも、2週間で辞めちゃった。意味ないな、って(笑)。それで、会社をつぶすわけにもいかず、システムの受託開発をやりましたね。これも食べるためにやっていたので、すぐに違うと思った。ちょうど1年後ぐらいに、FacebookなどのSNSが台頭してきて、企業ページの作成やマーケティングに活用するような仕事が集まりだしました。これなら課題をクリエイティブに解決できると思ってやり続けていて、現在も広がっている感じです。今はここが収益の柱ですが、冒頭の“非経済”から生まれた「GOunite」や英語講座など、“エデュケーション”も今後の事業のキーワードです。

世の中の課題に対して、解決のプロセスを構造的に落としこんで、新しい型をつくっていく。それが僕たちの得意なことなので、現状にとらわれずに変化していきたい。今の世の中には、ものごとの意味をきちんと考えない人や、意味の感じられないモノが増えています。また、“経済”“非経済”もそうですが、今後はさらにバランスのとれた考え方が必要になってくる。僕たちが目指すのは「意味とバランスを感じられる社会」。そのために、学生を初め若い人たちが飛び出す社会に、「GOunite」など新たな型を持ち込み、ポテンシャルが正しく発揮できる社会を創っていきたい。それが今の未来電子テクノロジーの使命です。

ライター:西岡 史朗

(インタビュー内容は2017年5月の内容です)