
今回は、シニア世代向けの“コミュニティづくり”を主な事業としている株式会社オースタンスさんについて、CEOの菊川様にお話をお伺いしました!“好き”な気持ちや“エンタメ”の魅力を再認識できる興味深いお話でした!
菊川諒人さん
新卒で株式会社リクルートに入社し、新規事業などを経験。2015年に株式会社オースタンスを設立し、代表取締役社長を務める。
―早速ですが、オースタンスさんの事業内容について教えてください。
菊川: 私たちは、「おとなコミュニティ事業」や「ウェディング事業」、「アーティスト(広告制作)事業」などを行っています。その中でも、おとなコミュニティ事業をメインに行っています。具体的には、「趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)」という50代・60代のシニア世代向けのwebサービスを提供しています。“趣味でつながるコミュニティ”というコンセプトを掲げていて、会員数は現在35万人です。オンライン上で“趣味”を中心とした「交流の場」を提供することで、ユーザーであるシニア世代の方々が主体的なイベント活動できるように支援しています。
―シニア世代向けにwebサービスって新しいですね!一方、難しい点もあるのですか?
菊川: シニア世代の方々は比較的、デジタルデバイスに慣れていない方が多いので、デジタル面のサポートを手厚く行っています。具体的には、「webサービスの使い方講座」を開催したり、シニア世代の方々は資料等を印刷される方が多いのでサイト内のコンテンツを印刷可能にしたりしています。
―おとなコミュニティ事業の「強み」はなんですか?
菊川: webメディア「趣味人倶楽部」の会員基盤やログデータだけでなく、「趣味人倶楽部シニアコミュニティラボ」というマーケティングや事業開発支援を行う機関も運営している点です。 「シニアコミュニティラボ」は、約300名のシニア世代の方々が研究員として所属している研究機関です。その研究員の方々に、企業の商品開発やマーケティング調査に参画いただくビジネスモデルです。シニア世代向けに商品/サービスを提供している企業にとっては、シニア世代の方々の生の声やアイディアはとても貴重です。また、研究員の方々も企業の商品開発に関わることで、“やりがい”や“楽しさ”を見出される方が多いです。そのため、「シニアコミュニティラボ」では、双方にとって良い関係性が生まれています。
―なぜ「おとなコミュニティ事業」をやろうと思ったのですか?
菊川: 会社を立ち上げた当時は、ウェディング事業やアーティスト(広告制作)事業を行っていたのですが、その中での「気づき」をきっかけにシニア世代向け事業を始めました。
―設立当初に行っていた事業について教えてください。
菊川: 最初は、ウェディング事業から会社がスタートしました。きっかけは、ダンサーが活躍できる舞台を用意したいという想いからでした。当時、世界レベルのダンサーである友人がお金を稼げず困っている姿を目の当たりにしていて、どうにかダンサーが活躍できる場所を用意する方法はないかな、と考えたどり着いたのが、結婚式場でのパフォーマンスでした。
―なぜ「結婚式場」に注目されたんですか?
菊川: 私自身、学生時代の頃から結婚式の幹事をお願いされることが多く、これまで20回以上やっていました。司会をしたり映像をつくったり、全部趣味でやっていたのですが、あるとき結婚式で“フラッシュモブ”をしたら新郎新婦さんが感動してくださって、無料の約束だったのに、「ぜひお礼をしたい」と、お金を渡してくれたんです。そのときに、ダンサーが活躍できる舞台として「結婚式場」が合っているのではないかと思いました。それからは、全国の結婚式場に営業して契約を取っていきました。当時はまだ会社ではなかったのですが、ある営業中に、クライアントから「会社じゃないの?」と聞かれたのをきっかけに、会社を設立しました。(笑)
―途中で会社を設立されたんですね!(笑)式場から依頼を受けてパフォーマンスするのではなく、直接式場と契約されたのはなぜですか?
菊川: 「売り場を押さえる」という戦略を考えたんです。当時すでにフラッシュモブなどのパフォーマンス集団は出ていたので、自分たちは「式場」を押さえようと考えました。結婚式は式場側がすべてプランニングするので、式場と契約することで確実にお客さんを獲得できると考えました。 やがて、ウェディング事業から広告制作を含めたアーティスト事業を展開していきました。その中で、シニアのアーティストに出会いました。彼らがパフォーマンスするイベントをプロデュースしたところ、観客として参加した親世代の方々が思いっきり楽しまれている姿を目の当たりにして、事業を通して“親孝行”をしたいと思いました。ちょうどそのころ会社を大きくする段階に入っていたので、思い切ってシニア向け事業に注力しました。
―なるほど。そのような経緯で、「おとなコミュニティ事業」を始められたんですね。
菊川さんはリクルートでの経験を経て起業されましたが、CEOならではの苦労などありましたか?
菊川: キャッシュフローなどの金銭面において、当初苦労しましたね。4年目くらいまで自己資本で経営していました。ただ苦労といえるのはそれくらいで、周りの方々のおかげもあり、すごく楽しんでここまでやってきました。 あとは、実際にCEOになってみて「このポジションが一番自分らしいスタイル」だと気づくことができたので、やりがいを感じながらここまでやってこられました。というのも、“自分のアイディアや企画を活かしたい”という想いでリクルートに入社し実際に新規事業を担当しましたが、“企画”といっても会社組織の一員なのである程度の制限がありました。その点現在CEOとして、自分が歯車の中心となり自由度の高い中で企画やアイディアを実現できる環境にいるので、自分らしさをより発揮できていると、実感しています。
―おとなコミュニティ事業を中心に行っていらっしゃる中に、創業時から大事にされている“エンタメ”という一貫性を感じました。オースタンスさんの理念について教えてください。
菊川: 「私の好きが、世界を、動かす。」というビジョンを掲げています。“好き”を消費するのではなく、生産することを目指しています。具体的には、こちらから相手の“好き”を一方的に提供するのではなく、相手が「主体」となって“好き”を生み出せるビジネスを目指しています。さらにミッションとして、「エイジングエネルギーが溢れる社会をつくる」を掲げています。
―“エイジングエネルギー”とはなんでしょうか。
: 歳を重ねるごとに、湧いてくるエネルギーを表現してつくった言葉です。「歳を取ること」に対するネガティブなイメージを、ポジティブに変えたいという想いも込められています。「趣味人倶楽部」を通して、シニア世代の方々が活き活きと楽しめる居場所場を提供したり、さらにその中で「知的好奇心」をくすぐることを目指しています。
―今後の展望について教えてください。
菊川: 主力事業である「おとなコミュニティ事業」をより大きくしていきたいと考えています。35万人の会員基盤を更に強固にしていくこと、そのために、「知的好奇心」をくすぐるコンテンツの選別や企画を、全国の企業様と共同して行いたいです。それにより、50,60代の世代の方々の「来週、何をしよう?」というニーズに応えていきたいと考えています。
―求める人材について教えてください。
菊川: 入社後の“伸びしろ”や“ポテンシャル”の大きさを重視しています。具体的には、「動機」の部分であったり、熱量、成長志向など。“素直で考える力がある人”や“いいやつ”と言い換えることが出来ると思います。
〜編集後記〜
取材の中で、「誰かを笑顔にしたいという愛や意志に溢れた“生産の好き”」や「エイジングエネルギー」など、オースタンスさんらしさのある言葉をお聞きすることができました。世の中にあるエンタメを“消費”するだけでなく、自分が主体となって“好き”を生み出すことが、人生をより楽しくする方法の一つなんだと気づきました!
あの人が、好きなことを仕事にできる世界を作りたい。エンターテイメントを生業にしながらも生活の苦労が絶えない友人への想いから、オースタンスは始まりました。
あの人の「好きなこと」を、誰かの役に立つように、世界を動かしていく。それも、私たち自身の「好きなこと」で。そんな風に会社を育てていたら、エンターテイメントと掛け合わせた事業が様々な領域に展開していました。
私たちの「好き」には、愛情と意志が詰まっています。誰かを想う気持ち、自分の胸が高鳴る気持ち、そして結果に繋げる強い意志。
オースタンスは、「好きなこと」で世界を動かす集団です。
歳を重ねることを、ポジティブに。
1人ひとりが持つチカラや、知的好奇心を引き出し、何歳になっても自分らしく過ごせる、社会をつくります。
【ロマンと、そろばん。】
ロマンがあるから、事業は生まれる。
事業を育てるから、次のロマンが生まれる。
ロマンとそろばんの循環の先にある、想像を超える世界を目指そう。
【全ては、あの一瞬のために。】
成功に向けて、みんなで向かう。
たとえ失敗したとしても、チャレンジを賞賛するチームでいよう。
その先に見える景色は、いつだって何物にも変えがたい、最高の瞬間だから。
【楽しく、ご機嫌に、思いっきり。】
どんなときも、楽しさを見つけて、その未来を想像してみよう。
ご機嫌になったなら、本来の良さが発揮される。
さあ、思いっきり力を注ごう。はかりしれない楽しさが、待っている。
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