一般社団法人One Smile Foundation/笑顔を寄付に変え、<br>幸せが循環する社会をつくる。

一般社団法人One Smile Foundation

笑顔を寄付に変え、
幸せが循環する社会をつくる。

笑顔を寄付に還元するシステム開発などを通して、寄付のあり方を変え、貧困のない社会システムづくりを目指す一般社団法人One Smile Foundation。代表を務める辻早紀さんに、さまざまな取り組みに込められた想いや、実現したい未来についてお話を伺いました。

一般社団法人One Smile Foundation さん

辻早紀さん:音楽家として携わった宇宙葬のイメージソング制作をきっかけとして、宇宙や世界平和をテーマにした「Global Space Orchestra」や「One Smile Foundation」を考案し、国際会議で発表し注目を集める。構想の実現に向けて、国や文化を超えて活動中。

社会支援のあり方を、本質的に変えていく。

―本日はよろしくお願いします。早速ですが、笑顔を寄付に変えるシステムを構築中のOne Smile Foundationを設立したきっかけや当時の思いを教えていただけますでしょうか。

辻:

現在の寄付の仕組みには、いくつか問題があると感じています。たとえば海外へ送られる寄付の場合だと、複数の支援団体や銀行を経由することで中間コストが高くなりやすく、最悪の場合、本当に困っている人へ届くまでに寄付全体の半分程度のお金しか行き届かない現状があります。また、現金を介することによって不正や汚職、ヒューマンエラーなどが起きやすいのも大きな問題です。これまでの時代はそのような支援方法しか存在していなかったというのが正確な表現だと思いますが、これからの時代は違います。デジタル化していく社会を中心に、デジタルマネーや送金に伴うブロックチェーン、地球規模のインターネットインフラとなる衛星コンステレーションなどを中心とした新しい技術を用いることで、このようなジレンマや問題は解決し、社会支援の生産性は飛躍的に高めることができます。このようにテクノロジーの側面から新しい社会支援システムをつくることが期待できるのと同時に、従来のように世界の危機を煽り、同情心に訴えかけることによって人々の共感と資金を得る国際貢献のあり方に対しても、逆説的な方法で試みる価値があると直感していました。政治や人種などの難しい問題のネガティブさをみんなで分け合うより、もっとポジティブなものを共有して、それが広がっていくようなあり方があってもいいでのはないかと考えていました。国連ができて70年以上、従来の方法だけでは、世界は変わらないと思っています。テクノロジーの発展とともに、社会支援のあり方も違った発想でアップデートされなければいけません。そんな思いをベースに、経済弱者の問題を根本から解決するための一般社団法人One Smile Foundationを設立しました。

―ありがとうございます。どのようにして笑顔を寄付に変えるアイデアを思いついたのでしょうか?

辻:

家族とショッピングモールに出かけたとき、そこにいる人たちが楽しく笑っている風景を見て、みんなのんきでいいなと、少し冷めた目線で見ていました。世界には笑顔になれない人たちも沢山いるのに・・・と。そうして施設内を見渡していたとき、ふと監視カメラが目に止まりました。その瞬間、これは使えるかも!とアイデアが生まれ、あらゆるものへポジティブの連鎖を生み出す可能性と結びつきを感じました。監視カメラは、すべての人を疑って監視することによって犯罪抑止を行うというネガティブの塊の装置です。どうせなら、それに笑顔検知を搭載させ、僕たちの幸せを寄付に変えていくことで、ポジティブな街づくりができるのではないか。さらに、社会問題に関心がない人たちも、無理なく巻き込むことができ、何気ないたった一つの笑顔という幸福が、すべての人に良い影響を与え合うことができると直感したんです。さらに、そこに経済支援が組み込まれていることによって、DXが進む社会における社会保障などのインフラとしての機能を担うことができるかも!という考えが、一気に頭を駆け巡ったのを覚えています。僕が生まれてから41年という月日が経ちますが、子どもの頃から世界は良くなっているように見えません。その理由の一つに、世界の課題に取り組める人口には限界値があるのではないかと考えています。現在の資本主義社会において、積極的な活動を行える人は地球の総人口の上限に達しているのではないかという仮説があるのです。そして、その仮説が正しいのであれば、重要なのは、「いかに無理なく世界の77億人を巻き込んでいくのか」ということになります。世界のことなんか考えていなくても、日常に生まれた笑顔が、まわりまわって世界の、誰かの支援につながる。社会課題を気にかけることがなくても、自分たちが楽しめば楽しむほど‘世界が勝手に良くなっていく’そんなシステムがあれば、世の中は必ず良くなる。そのときのアイデアや情熱をベースに、さまざまなプロジェクトを進めています。

―多くの人を巻き込むためのポジティブな仕組みづくりですね。

辻:

そうですね。明日食べるものがなくなって、死んでしまうかもしれない。そんな人たちが、世界にはたくさんいます。絶対に解決しないといけないのは、そういった命に直結するような問題だと思っています。従来にない新しい技術によって、寄付を受ける人は貧困と負の連鎖から抜け出して笑顔をつくれるようになる中で、この寄付がどこから来たのか、どこの笑顔から来たのかを知ることができるようになる。笑顔によって寄付をする人は、いつどのようなかたちで、寄付や自分の笑顔が使われたのかを確認でき、笑顔の伝播によって幸福を増大させていく。匿名性を担保しつつ、すべてを見える化するシステムをつくることで、人は生きているだけで価値があり、すべての人は影響し合い支え合っているという、つながりを感じられる社会になると考えています。

―これまで世の中にない取り組みだからこそ、2018年に着想を得てから現在に至るまでに、さまざまな苦労があったと思います。そのあたりも教えてもらっても良いでしょうか?

辻:

事業の立ち上げから現在まで苦労していることのひとつは、開発費などの資金問題です。私はキャリアの多くを音楽家として活動してきたので、システムを構築する技術も、ましてや資金もありませんでした。そのため、One Smile Foundationに賛同してもらえる仲間や協賛者を集めるための活動に関しては、地道に泥臭くやってきた自負があります。たとえば、今でこそ国内では自治体の社会実証実験などに採択され波に乗り始めていますが、初めはハガキサイズのプロジェクトカードを一枚持って、様々な方に突撃し直談判を繰り返してきました。海外も基本的には同様に、アメリカやドイツ、オーストリアなどで開かれる国際会議に参加するため書いたことにのない論文を一生懸命書いて参加し、片言の英語でアタックして仲良くなることを繰り返してきました。そうした活動を通して、アイデアをカタチにするための技術や知恵、最小限の資金を集めていきました。国際会議などを行う名高い機関も、ちゃんと調べてみれば、すべての人に間口が広がっています。熱意と行動力さえあれば意外とどうにかなるものです。思い返すと、苦労というよりも開拓する楽しみの方が大きかったですね。

国も文化も、笑顔で越える。

―進行中のプロジェクトについて、具体的にお話しできるものはありますか?

辻:

現在は、行政や企業とさまざまな実証実験を行っている段階です。具体例を挙げると、2021年7月に静岡県浜松市のスマートシティプロジェクトに事業採択され、11月から実証実験を行っています。「AIの笑顔検知による幸福度の可視化と向上」というプロジェクト名で、自分の笑顔が寄付に変わっていく体験を通じて、コミュニケーションの促進や新たな笑顔の創出などのポジティブな連鎖が生み出せるかというコンセプト検証のための実験です。地元企業4社に協力いただき、7拠点に機器設置、予定参加人数は350人ほどです。プロジェクト前後を比較して、参加者の心理変化などを慶應大学の方に協力いただきながら考察します。すでに良い反応は得られていて、今後も、広島での実証実験や、愛媛県のスマートシティプロジェクトへの技術提供など、検証場所は数多く決まっています。その他、企業さまとの取り組みだと、笑顔と幸福度・社内コミュニケーションに関する調査を実施、効果検証行っています。その他にも、サッカーやバスケットボールなどのプロスポーツリーグからのお問い合わせも増えつつあります。まだまだ実験に協力いただける方や場所を募集しており、クラウドファンディングなども行っています。

―世の中の関心が高まりつつあるということですね。

辻:

本当にありがたいことです。実は国内だけでなく、海外の方と連携する動きもあります。たとえば、イスラム文化には喜捨という習慣があります。年間資産の2.5%を寄付する取り決めが法制度としてあるほどです。寄付や助け合いに対する意識が、日本より格段に高い。そういった背景もあって、UAEのシャルジャ首長国の有力者の方から、国際会議に正式な招待をいただくなど、コロナで延期になってしまっていますが、私たちの想いは海外でも受け入れられることを十分に実感しています。笑顔というものは、人間である以上否定することはできません。この世の価値基準はお金に集まりがちですが、そのお金も幸福を実現させるためのチケットでしかありません。だからこそ、笑顔という幸福のしるしは、文化や言語の壁を超えて人々をつないでいく。それは、疑いようのない事実だと思います。

人が人らしく生きられる、自由な世界へ。

―これから実現したい未来やビジョンについて、お聞かせいただけますでしょうか。

辻:

これまでにお話した通り、One Smile Foundationは「笑顔を寄付に変える」という活動を行なっていますが、本質的にはもっと高い次元の「社会保障」「富の再分配システム」「自由の民主化」といったことを目指しています。寄付というポップでライトな表現に留めているのは、より多くの方に分かりやすいかたちで共感していただくことで、活動を大きくしていきたいというのが主な理由です。これまで人類は、さまざまな方法で富や自由を獲得してきました。主に、その多くは力で勝ち得る方法であったかのように思います。僕たちOne Smile Foundationのビジョンは、いかに全ての平穏と平和を保ったまま奪い合うことなく、自由を獲得できるか、これに尽きます。人類の一人ひとりが「幸せになればなるほど世界は勝手に良くなっていく」そんな世界を実現していきます。

―このメディアは、学生も多く読んでいます。彼らに向けたメッセージをお願いできますでしょうか。


とにかくやりたいことを、やってしまいましょう。いま食べたいものを食べることや、着たい服を着ることは、実はぜんぶ夢を叶えている瞬間であり、行為そのものです。そうやって、夢や目標を叶える癖をつけていくことが重要です。そして、その方法は他人と同じである必要はまったくありません。むしろ、自分に合った方法で実現できることの方がすごいと考えています。自分の心と直感に、素直に従って行動してみてください。幸せな人生を生きるとはそんな連続なんだと思います。


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Company Profile

社名
一般社団法人One Smile Foundation
代表者
辻早紀
事業内容
浜松市とともに2021年11月から実証実験を開始。広島や愛媛、京都などの行政との実証実験プロジェクトや、クラウドファンディングによる新規プロジェクトも開始予定。随時、共同研究者やスポンサーを募りながら、国内外に活動を広げています。
会社URL
https://1smilefoundation.org

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