
今回は本の商社である日本出版販売株式会社(日販)さんにお話を伺いました。1949年設立ということでその歴史もさかのぼっていこうと思います。会社名に出版とあるから書籍の取り扱いだけかと思いきや、日販さんはそれだけではありません。では、なぜほかの事業も取り扱うのかを一緒に見ていきましょう。
尾嶋 結里可さん
2018年入社。入社後より一貫して人事担当として採用業務を行っている。
―本日はよろしくお願いします。まずは事業内容について教えていただけますか?
尾嶋: 日販は、1949年の創業以来、長らく取次事業を行ってきました。取次事業は全国にある約3200社の取引出版社から本を仕入れ、約5000店の取引書店や約32000店のコンビニ、図書館やECサイトに書籍・雑誌等を卸す事業です。日販グループとしては、ほかにも雑貨事業、エンタメ事業、海外事業、電子コミックなどを取り扱うコンテンツ事業、グループ書店の運営・開発を行う小売事業など幅広い事業展開をしています。日販はグループの中で主に取次事業の部分を担っており、その他の事業についてはホールディングス体制としてグループ企業がそれぞれ行っています。 (グループHPはこちら:https://www.nippan-group.co.jp)
―1949年‼とても歴史のある会社ですよね。設立の背景をお伺いしてもいいですか?
尾嶋: はい。そもそも本を届ける出版取次というものが日本に登場したのは明治中期と言われており、大正時代には小さな取次店がたくさん誕生しました。昭和初期には市場が成熟し4大取次という体制が登場しましたが、第二次世界大戦中は、政府の統制があり1つの国策会社に統合されてしまいます。そして戦後、統制が緩和された際、「本という文化をあまねく人々に届けたい」との想いで創業者は日本出版販売を設立しました。当初、雑誌は競合他社の専売であったため、書籍のみを取り扱っていましたが、次第に事業規模を拡大し現在に至ります。全国の出版社、書店との繋がりを活かし、新たな販売方法や販促手法を企画しやすい環境の日販では、よりよい方法で多くの人々へ本を届けるにはどうしたらよいのかを常に追求し、物流システムの改革や流通センターの設立、マーケティングやデータベースの提案などにも事業の幅を拡げていきました。
―知識や文化の源でもある本を多くの人に届けたいという想い、素敵ですね。
―会社の志を教えてください。
尾嶋: グループ全体の経営理念は「人と文化のつながりを大切にして、すべての人の心に豊かさを届ける」としています。様々な事業が増えグループ会社も多くできたことから、ホールディングス化をきっかけとして、策定したものです。
尾嶋: 人は、たった一つの文化と出会うだけで、人生が変わることがあります。例えば一冊の本を読んだ時、その本から影響を受けて、何か行動を起こしたいと感じた、こんな風に生きると決めた、というきっかけは、本だけでなく日々多様な文化からもたらされているものです。私たちは本ならば書籍・雑誌・コミック、それ以外にもたくさんの文化商材を全国の人々へ届けています。数多の企業や著者が想いを込めて創りだした文化を、求める人のもとへと届け、その人の人生をより豊かにする、新たな発見や喜びを届ける企業でありたいと考えています。 もちろん文化的な豊かさとは、ひたすらにハイセンスであることや教養が高い、ということではなく一人ひとりの価値観に基づくものです。自分が好きなことを好きと言えること、ともに楽しむ仲間が見つかること、新しい学びがあること。多様性の広がる文化/エンターテインメントを常に受容し、消費の方法や商材にはこだわらず、人々へ届けていきたいと思っています。
―いいですね。実際、社員さんはこの志をどのように仕事に反映させているのでしょうか?
尾嶋: 様々な事業がありますので行っている仕事は人それぞれですが、規模や人数の大小にかかわらず人の「楽しい」や「面白い」、「心地よい」といった豊かさの琴線を意識して働いているという点は多くの社員に共通しています。読者やその文化/エンターテインメントを求めている人がどうやったら喜ぶのか、顧客だけでなく関わる取引先や出版社・書店にとってよりよいビジネスモデルはどのようなものかを常に模索しています。
―取次事業以外の海外事業や、コンテンツ事業、エンタメ事業など多角的な事業展開にも、このあたりの理念が関係しているのでしょうか?
尾嶋: そうですね。今ある事業のすべては取次事業と同じように人の心や生活を豊かにする、という想いを持って展開してきたものです。いずれの事業も最初はスモールスタートでしたが、販路や手法を拡大するうちに1つの会社として成り立つ事業が多くなり、今後さらに成長していけるように、ホールディングス体制という形を取りました。日販グループのすべての事業が「人と文化の繋がりを大切にして、すべての人の心に豊かさを届ける」という志に結びついていると言えます。
尾嶋: また、こんなにたくさんの事業ができた背景には、会社が社員のチャレンジを歓迎・応援する風土を持っていることも大きな要因としてあります。若手のうちから意見を言える制度や場が豊富にあり、アイデアや考えを発信する環境は十分に整っています。とくに、若者向けのコンテンツやエンターテインメントにおいては、好奇心旺盛でアンテナを広く張っている若手だからこそ思いつく施策や企画もたくさんあります。もちろんボツになることも少なくないですが、積極的に意見を出してチャレンジできる風土があるからこそ、ここまでいろいろなことができているのだと思います。
―日販さんとしては世の中をどのようにしていきたいですか?
尾嶋: 出版業界を支える会社として、流通・輸配送の課題など解決しなければいけないことはたくさんありますが、最終的に目指す未来はグループの経営理念にある「人に豊かさを届ける」企業です。業界の未来だけではなく、人々が豊かに過ごす未来を考えて、そこに向けて私たちが何をすべきなのかを考え実行していきたいと考えています。 例えば、本屋さんをより心地よい空間にしていくことで喜ぶ読者もいれば、毎日が忙しくて書店に行くよりも電子書籍で読書をするほうが便利と思う読者の方もいます。人々のライフスタイルの中で生まれる需要に気づき、応えていけるサービス・流通をつくることが私たちの使命だと思っています。取引先はもちろん、その先の人々のくらしに目を配り、よりよい豊かさを提案していける会社を目指しています。
―採用に関しまして、どんな仲間と働きたいですか?
尾嶋: 課題発見力があり、実行力がある人ですね。日販グループは、長きにわたり出版業界を支えてきた取次事業の継続・改革と、新しい事業開発を両輪で進めています。これまで先輩たちが行ってきた事業の課題はなんだろう、と考えてそこから自分の考えを見つけ実行できる人、または、先輩たちはやってこなかったけれど、自分なりに人の豊かさに対して、こんなアプローチができると思う、というアイデアを発信できる人を求めています。もちろん、いきなり大きな発見や斬新なアイデアでなければいけないなんてことはなく、小さなスタートでいいんです。これまでの経験でも部活動や課外活動、アルバイトをする中で、これを解決したら誰かのためになるかもしれない、こんなことをしたら面白いかもしれない、と感じた瞬間はきっと誰しもあると思います。 日々働く中で、自分の関わるビジネスの課題を探して改善のために行動できる人、さらにその先へと一歩踏み出して「新しい豊かさ」の提案を志す人と、共に働きたいと思っています。
―課題発見とそこからの実行力は何をするにも必要ですよね。本日はありがとうございました!
〜編集後記〜
いろんな事業をしている日販さんですが、その軸は1つでした。「人々に文化的な豊かさを届ける」というのは結構難しいことだと思います。私も一貫した軸をもって生きていきたいところです。また、未来を考えるにあたって「出版業界の未来を考えるのではなく、人々が豊かに過ごす未来を考えて、そのために自分たちの会社が何を出来るのかを考える」と聞いて、ビジネスでもいかに相手のことを考えられるか、はとても大事だと思いました。
文化を守ること、文化を創ること。
どちらも欠けてはならないと、私たちは考えます。
人が生きていくために、人の心に豊かさをもたらすために。
日販グループは、それぞれの個性と強みをいかして、
その想いを実現していきます。
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