株式会社松本義肢製作所/妥協のない義肢で、<br>患者さんの満足をつくる。

株式会社松本義肢製作所

妥協のない義肢で、
患者さんの満足をつくる。

1905年の創業以来、110年以上、医療・社会福祉の分野で義肢・装具・リハビリテーション機器を提供し続けてきた松本義肢さん。その背景には並々ならぬこだわりと、患者さんへの深い思いやりがありました。義肢づくりという仕事にかける想いを、代表取締役の松本芳樹さんにお聞きしました。

株式会社松本義肢製作所 さん

松本芳樹さん:松本義肢製作所 代表取締役。高齢社会で刻一刻と状況が変わっていく福祉業界においても、4代目の社長として、日々新たな製品開発や仕組みづくりに取り組んでいらっしゃいます。

株式会社松本義肢製作所 さん

総務の藤井基弘さんに工場をご案内いただきました。丁寧に説明していただきありがとうございました!

原点は、誰かに必要なものをつくること。

―本日はお時間いただきありがとうございます。まずは会社の歴史からお伺いしてもよろしいでしょうか。

松本:

創業は1905年で、創業者の松本豊治(とよじ)は自身が足の切断者でした。当時の義足はアメリカ製ばかりだったので、自分も含め日本人に合う義足をつくりたい、という想いから仕事が始まりました。

悲しいかな、戦争がある時代に義肢は進化するもので、しばらくは、戦争で手や足を失った方のために義手や義足をつくっていたんですね。そこから日本では戦争がなくなり、1960年ころからは、いわゆる整形外科の治療に対する道具や、障がいを持った方の社会復帰のための装具に力を入れるようになってきました。いま、私たちの仕事の多くは、膝や腰などを痛めた方、骨折された方、障がいや麻痺を持った方に提供する装具の製作ですね。

―時代の変化に合わせて仕事内容も変わってきたのですね。

松本:

義肢と同様に、昔は治療用の装具も日本になかったんですね。だったら、義肢をつくる会社が、同じように体に合わせて装具をつくったらいいんじゃないか。結局、世の中にないけれど、誰かに必要なものをつくり、人の期待に応えることで仕事が広がってきたのだと思います。

100点の義肢はないから、
満足度の100点に近づきたい。

―松本義肢さんの志について教えてください。

松本:

私たちは製造業ではないと、いつも社員に伝えています。つまり、「つくること」ではなく、「お客様に満足していただくこと」が一番の目的ということです。自分たちのことを製造業と言ってしまうと「この義肢はいい」「いい義肢なのに満足しない患者さんが悪いんじゃないか」という、モノ中心の考えになってしまうわけです。

でもそうじゃない。いま義肢には、オリンピックで走ったり飛んだりする軽量化を目的としたものもあれば、やっと膝が曲がるか曲がらないかという人の足を支えるものもある。ユーザーのバックグラウンドを知らないと満足していただけません。どんな生活をしているか、一人暮らしか多人数で暮らしてるか、どんな家族がいらっしゃるか、怪我や障がいの原因は何か、その方の趣味は何かなど、様々な情報をお聞きして最適なものを提供する。特に義手や義足は、自分の手足に変わるものですから、「何がしたいか」という目的が重要なのです。

松本:

ただ、人間の手足は非常によくできているので、人工物をいくら頑張っても、100点の義肢はつくれないんですよね。

―100点にならないというのは?

松本:

義肢で一番難しいのは、手や足ではなく、接続部分なんです。なぜかというと、人の手足は太ったりやせたり、少し力を入れると形が変わったり、一定ではないからです。だけど、ソケットは一定の形ですよね。いろいろな動作の平均値を形にするので、100点はありえません。だからこそ、目的からお聞きし、満足度も含めていかに100点に近づけるかが、私たちの仕事です。

―お客様一人ひとりに寄り添っていいものをつくっていくということですね。

松本:

そうですね。けれど、患者さんの言うことを全て聞いていてもダメなんです。例えば、好きなブランドの靴を履きたい人がいるとします。それが海外ブランドだったら、日本人の足に合わないこともある。靴ずれを我慢して履いていると、靴ではなく足を合わせにいっている状態です。私たちはその逆。目的を叶えるために、義肢を人に合わせますから、あえてローテクな義肢を提案することもあります。その分、とことん調整して合わせますけどね。

―それぞれのお客様に調整していくのは非常に大変そうですね…。

松本:

非常に難しいことですが、私たちのモチベーションの元でもあるんですよ。ある時には、足を切断して、もう立てないと思っていた方が、義足を履くと意外と簡単に歩けることに気づく。すると目の前で涙を流して喜んでくれるんですよ。自分がつくったもののリアクションが直接伝わってくるから、この仕事はやめられないです。

こだわり過ぎて、既製品が開発できない。

―そんな松本義肢さんの独自性はなんでしょうか。

松本:

やはり一つひとつのオーダーメイドにこだわっていることですね。私たちのつくる物は、厚生労働省で価格は決まっています。だからその中で利益率が高いもの、低いものがあり、どんなつくり方をするかは人それぞれです。調整を細かくしていくと、当然手間がかかるので、だんだん利益が減るわけですね。すると小さな会社では請け負うことが難しくなります。日本には800社くらいの義肢製作所がありますが、義肢をつくっている会社は3分の1くらいでしょう。難しいけれど利益率が低い。そういう仕事こそ、当社のような大手でしかできないことだと考えています。

―直接的には利益につながりにくいのに、なぜ続けてるんでしょうか?

松本:

それはやっぱり必要だからですね。格好つけてるわけじゃないんですが、期待してくださる人がいるので、うちが逃げてもしょうがないと。

ただ、やっぱり企業なので利益を出すことも考えていますよ。最近は、規格品をつくろうとしています。すぐ患者さんに提供できるよう、オーダーメイドではなく、 S-M-Lのサイズで最大公約数でつくっておけば、患者さんにも早く提供できるので、お役に立てるかなと。ただ、一度患者さんに履いてもらうと「やっぱりここはもうちょっと直した方がいいですよね」と、手を加えてしまうので、結局オーダーメイドになってしまっているんですが…。

―社員さんの志の高さが集まって成り立っているんですね。

松本:

まさにそうですね。支えてくれている仲間の期待にも応えたいという思いがあります。その人たちが十分に活躍できる土壌をいかにつくるかが会社の使命ですね。素晴らしい社員に支えられています。

ものづくりを思い切り楽しめる業界へ。

―将来のビジョンについてお聞かせいただけますでしょうか。

松本:

ビジョンという大それた感じじゃないですが、「当たり前の商売を当たり前にする」ことを大切にしていきたいです。お客様の満足のために製造してるものを、普通にお金を出して買ってもらう。社会保障費がなくても、自費で買っていただけるものをつくっていきたいなと。それが既製品なのかオーダーメイドなのかは、まだわかりませんが。

―業界のビジネス構造そのものを変えていきたいということですね。そのために必要なことはなんでしょうか?

松本:

現代に合わせたものをつくっていくことだと思います。昔は体につけるものは、色合い的に白かベージュって決まってたんですね。目標は健常者の手足だったから。でも、今はすごくカラフルで、子供の体につける装備は柄のものが多いです。せっかくつけるんだから喜んでもらいたいということで。

松本:

他にも、電動で動く義手の手首は、昔は人の動きに合わせて180度ずつしか回転しませんでしたが、今の義手はどこまでもぐるぐる回るものもあります。その方が便利だからとか、どうせ人工のものなんだからと、割り切って考えられるようになりましたね。

―現代でも徐々につくるものが変わってきていますが、その中でも変えないことはありますか?

松本:

患者さんに対して、妥協しないことです。やはり、私たちが提供しているものは満足感ですからね。入社した社員は、義足や義手をつくるとき、一生懸命に足を見ます。けれど、足しか見ていない。だからいつも言うのは、1歩も2歩も3歩も下がれと。足だけ見るのではなく、ある程度足を見たら1歩下がる。すると足全体が見える。もう1歩下がると、患者さんの表情が見える。さらに1歩下がると、患者さんの後ろに立っている家族が見える。みんながどういう顔をしているのか、そこまで見て初めて、本当の満足は届けられるんです。

―松本義肢さんの思いやりの深さを感じました。最後に、どんな仲間と働きたいですか。

松本:

やはり患者さんとのコミュニケーションがとれる人は、力を発揮しやすいと思います。足だけでなく、その背景まで理解するためには、相手とのコミュニケーションが大切ですからね。

また、熱意があって一芸に秀でてる人と働きたいなと考えています。新しい商品の開発や、規格化にあたって、今までの当社の考え方に流されない人ですね。これからのビジョンを実現するためには、視野を広くしていろいろな考えを取り入れていきたいと考えています。大手である松本義肢が変われば、業界も新しくなっていく。その先に、満足を思う存分、追求できるものづくりが待っているはずですから。

―新しい取り組みをするために、新しい視点が必要なんですね。本日はお話聞かせていただきありがとうございました!

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企業目標

医療・社会福祉のお手伝いをするために、義肢・装具・リハビリテーション機器を提供いたします。

TECHNOLOGY&CONFIDENCE
適合:正直さ・親切心・技術・社員
理念:こころづかい・経営者
信頼:こころの連帯・地域社会・顧客

Company Profile

社名
株式会社松本義肢製作所
設立
創業1905年
代表者
代表取締役 松本芳樹
資本金
2,000万円
従業員数
総従業員数:283名 ※義肢装具士数:142名 (2021年1月現在)
事業内容
義肢・装具の他、培ってきた技術を活かし、様々な分野の製品を開発。
医師の処方に従い採寸・採型し、義肢・装具を丁寧につくりあげるオーダーメイド製品の他、独自で開発し製品化を手掛けた、スポーツや食事を助けるオリジナル製品、海外からの商品輸入など、幅広い事業を展開している。
本社住所
〒485-8555 愛知県小牧市大字林210番地の3
電話番号/FAX
TEL:0568-47-1701(代) / FAX:0568-47-1702
会社URL
https://www.pomgs.co.jp/

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