株式会社星野リゾート/旅は世界で最も大切な平和維持産業

株式会社星野リゾート

旅は世界で最も大切な平和維持産業

「旅」ときいて何を思い浮かべるでしょうか?楽しい、非日常、特別感……様々な考えがあるでしょう。では、「旅が世界を救うかもしれない」と聞いたらどう思いますか?今回は、創業106年の歴史がある星野リゾートの社員3名の方に「旅」とは何か、そして「旅」の未来についてお話を伺いました。

取材日:2020年2月20日-21日 (OMO5東京大塚宿泊)、3月4日 (人事甲田さんインタビュー)

株式会社星野リゾート 甲田遥さんさん

甲田遥さん
2014年、株式会社星野リゾート入社。温泉旅館「界」などで業務を経験した後、現在は人事部で採用担当をしている。

旅を通して人と繋がり、
その繋がりが世界を救うかもしれない。

―インタビューを受けていただきありがとうございます。本日は星野リゾートさんの志、そしておもてなしの極意なども聞けたらと思っています!よろしくお願いします。まず、事業内容について教えていただいてもよろしいでしょうか。

甲田:

はい。私たちは現在、ホテル、旅館、ブライダル、スキー場などのリゾートを運営しています。最初は軽井沢の家族経営の温泉旅館から始まりまして、4代目の時のリゾナーレ八ヶ岳(2001年:当時「リゾナーレ小淵沢」)を皮切りに現在のような拠点の展開がスタートしました。もともとリゾナーレ八ヶ岳は他の企業さんが経営していたものでしたが、経営困難が続いていたようで、弊社が再生のお願いを受けたんです。それがうまくいき、その後もある種再生請負人みたいな感じで依頼を受けていった結果、旅館やリゾートの再生だけに限らず、温泉街ごとプロデュースするといった街づくりも手がけるようになりました。

―再生の請負が拠点展開のはじまりだったんですね!では、星野リゾートさんはどのような考え方で日々リゾートの運営に取り組まれているのでしょうか。

甲田:

「旅は平和維持産業」という考え方はとても大事にしています。なぜなら、行ったことのあるところはより身近に感じるからです。例えばスペインに行ったことがある人は、スペインで事故があったら「大丈夫だろうか」と心配になりますよね。東日本大震災のときも日本に思い入れのある世界中の方々がとてもサポートをしてくださいました。国同士が条約を結んだり、トップが握手をしたりすることももちろん大切ですが、旅をしてその土地で繋がりを持った人たちがたくさん増えることも、揉め事を減らして世界が平和になる一つのきっかけになると思っています。

―たしかに人を動かすのは気持ちだから、繋がりを増やして助け合えたら幸せな世界ができそうですね。

甲田:

そのため、私たちは「記憶に残る旅」の提供にこだわっています。一度旅に行ったときに心から「楽しいな」「旅に出てよかったな」って思えば、また旅をしますよね。記憶に残る旅には、未知の体験が必要だと思っています。お客様のご要望通りのものをご提供することも大切ですが、それだけだと期待を超える体験にはなりません。私たちはその土地や時間、空間だからこそ感じられる個性的な魅力をこちらから積極的に伝えていって、未知のものに触れてもらいたいと考えています。

―なるほど。その土地ならではの個性的な魅力を伝えるために実際にどのような工夫をしていらっしゃるのでしょうか?

甲田:

それは、ここで私が語るより実際に体験していただいた方がいいと思いますので、私たちのブランドの一つである、「OMO」に行ってきていただいて、実際に見たり、スタッフに聞いたりしてきてもらえたらと思います!

―・・・というわけで、星野リゾートさんが運営する「OMO5東京大塚」に行ってまいりました!・・・

その土地の個性的な魅力を積極的に提案することで、未知の体験をしてもらいたい。

―・・・「OMO5東京大塚」では総支配人の磯川さんと現場スタッフの石川さんにお話を伺いました。・・・

磯川涼子さん

2000年、株式会社星野リゾート入社。広報や「星のや」「界」でのディレクター業務など幅広い業務に携わり、現在は「OMO5東京大塚」の総支配人。

石川優海さん

「星のや」などの業務に携わり、現在は「OMO5東京大塚」でOMOレンジャーやフロントなど様々な業務を行っている。

―ブランド名を聞いたときから気になっていたのですが、OMO(おも)の名前にはどんな意味があるのでしょうか。

磯川:

日本らしい響きで、海外の方も覚えやすいという条件で考えていったのですが、OMOはいろんな意味に捉えることができるんです。おもしろい、おもいがけない、おもてなし…、聞く人によって旅にまつわるいろんな意味合いで解釈できるので素敵だなと思い、OMOと名付けました。

―どんな背景があってOMOができたのでしょうか。

磯川:

都市部のホテルは、基本的にビジネスシーンでの利用者をメインにターゲットとしていますが、実際にはライブや遊園地などのレジャー目的で宿泊するお客様も多く、その際ホテルはただ寝るためだけの場所になりがちなんです。

―たしかに、言われてみるとそうですね!荷物を広げるスペースもあまりなかったり・・。

磯川:

するとどうでしょう。せっかくレジャーで上がったテンションが、現実感のあるホテルに着いた瞬間、ちょっと落ち込むんです。そこで生まれたのが、「旅のテンションを上げるホテル」というOMOのコンセプトです。テンションの上げ方としては、「Dive to Local」という考え方を大切にしていて、その街だけの楽しさや美味しさなどにどっぷり浸ることで、旅の+αを創出したいと考えています。たとえば、この大塚の街は、東京の中でもディープなカルチャ―がたくさんあり、少しでもそこに触れてほしい、という想いがあります。

―星野リゾートさん全体を通しての「その土地ならではの個性的な魅力を伝えたい」というところにつながりますね。

磯川:

ロビーや客室にもテンションを上げる工夫を散りばめています。たとえば、旅の仲間みんなで集まっておしゃべりが楽しめ、部屋に戻るのがもったいなく感じるパブリックスペース。客室も二段構造でスペースを有効活用し、複数人泊まった方がむしろわいわい楽しくなる設計にしています。

―普通のホテルでは中々見ない室内だなと思いました!OMOでは、大塚ならではの魅力を伝えるためにどのようなことをしているのですか?

石川:

私たちは自分の足でおいしいお店や絶景スポットなどを探して、本当に自分がいいと思うものをお客様にお勧めしています。普段から常にいいものを探す視点を持つよう心がけています。「どうせ寝るだけだし、ご飯はコンビニで済ませよう」と思っていた方に、地元で人気のある定食屋さんを教えてあげると、普段だったら巡り合えない未知の体験が旅の中でできるわけですよね。すると、ただの旅から、記憶に残る旅に変わるかもしれない。私たちが自信を持ってお勧めできるその土地での未知の体験を、ある意味ちょっと押しつけるのも星野リゾートの特徴です(笑)。

―人事の甲田さんも仰っていましたが、要望に応えているだけだと未知の体験はできないからですよね。星野リゾートさんから能動的にその旅の魅力を提案することで未知の体験をしてもらうってとても素敵ですね。

石川:

ただ、良かれと思った「押しつけ」も方向を間違えてはいけませんので、お客様とのコミュニケーションはとても大事にしています。こちらのお客様はどんなことが好きなんだろう、とかを会話の中から引き出していくんです。ここOMOでは、ホテルの近所にあるグルメやお酒・カルチャーなどを知り尽くした「OMOレンジャー」という部隊がいます。私もその一員なので、街案内ツアーなどを行うのですが、ツアー中は「お客様」としてだけでなく「お友達」として関わらせてもらえるように心がけています。

―お友達だと距離感が縮まりますもんね。

石川:

たとえばツアーの時だけは、「〇〇様」ではなく、「〇〇さん」と呼ばせていただいたりすることで、お客様もただのガイドより話しやすくなると思いますし、よりお客様の興味のあるものを知ることができます。

―たしかに、友達みたいに距離が近くなるといろいろ聞きやすいですね。最後に、OMOはどんな人に利用してほしいですか。

磯川:

気軽に旅を楽しみたい20~30代くらいの人にお勧めです。今日の夜行っちゃおうか、くらい気軽に!そのために、OMOは星野リゾートの中でも気軽に行ける金額になっているので、学生のみなさんにもぜひ二回目の卒業旅行などに利用してほしいですね。

―・・・一泊二日、OMO5東京大塚での旅。大塚の人たちと話し、大塚ならではのお店でご飯を食べ、そして星野リゾートさんが大切にしているエッセンスをたくさん感じることができました。・・・

世界平和を担っているという誇りと
それを支える組織文化

―今回行かせていただいたOMOでも、以前個人的に伺った「青森屋」でも、スタッフさんのおもてなしがすごいなと感じたのですが、なぜ全員があんなにハイレベルなおもてなしをすることができるのでしょうか。

甲田:

そもそもおもてなしはどういう意味なのか。私は「もってなす」ことだと考えています。自分の持っているものから相手が好きだろうと思うものを選んで提供する。それがおもてなしなのではないかと。おもてなしに関してスタッフ全員が同じ気持ちを持っているわけではなく、それぞれのこだわりや目標があるのだと思います。私たちが、「わざわざ旅にでるからこそ体験できる未知」を旅の意義として提供し続ければ、旅は人々の心にずっと残り、やがて平和維持につながるはずです。そんな思想が、自分たちが働く意義にもつながってくるわけですよね。一日の売り上げに意義を持つというよりも、自分が平和維持産業を担っていると思うことで、今日の仕事に誇りを持てたり、明日のモチベーションになったりしているのだと思います。

―スタッフさん1人ひとりが、星野リゾートさんが目指しているところを念頭に仕事ができているんですね。たしかに、自分の仕事が世界平和に繋がるという意識だと、どんな小さな仕事にも誇りを持てますね。

甲田:

はい。そしてその誇りを支える社内制度もあります。ピラミッド型でなく、フラットなコミュニケーションをとる組織文化です。相手が年上の先輩であっても指摘し、逆に年下からの指摘でも受け入れる。誰が言ったかではなく何を言ったかが重要だと考えています。

―その歳だからこそ気づくものがありますし、年上年下関係なく指摘しあえる環境はお互いの成長にも繋がりますね。

「脱就活」宣言

―最後に採用についてなのですが、どんな人に星野リゾートに入ってきてほしいですか。

甲田:

星野リゾートは「脱就活」「脱採用」宣言をしています。私たちは、一人ひとりが違っているからこそ生み出せる企業としての競争力があると信じています。だから、職に就く就活ではなく、自分のキャリアを自分の力で築いていく方とたくさん出会いたい。そこで私たちも採用という枠を超えて、皆さん一人ひとりのキャリアを一緒に考えるチームとして準備しています。ですので、就活生の皆さんには企業とのフィット感を確かめていただいて、いいなと思ったら、自分が星野リゾートで何をしたいのかを考えてほしいですね。これからの時代は、より自分の意思がある人が必要とされるでしょう。就活の際は、この企業は世の中から何を求められているのか、自分はそれに対して何ができるのかを考えることがいいと思います。

―脱就活…!面白いですね。本日はありがとうございました。

 

編集後記 〜『OMO5東京大塚』を体験して〜

OMO5東京大塚の部屋はまるで隠れ家のようで、なんだか寝るのももったいない部屋でした。同じ編集部のユキナさんと一緒に泊まらせていただきましたが、話もついつい弾んでしまいました。ぜひ、友達複数人で泊まるのをオススメします。
インタビュー前には、”OMOレンジャー”石川さんに街を案内していただきました。そのときに感じたのが、石川さんと街の人たちがすごく仲が良いということ。驚くくらい親しく、まさにお友達のようでした。宿泊者でなくても利用できるカフェもそうですが、「人と人を繋ぐ」ということも目で見て実感でき、星野リゾートさんのこだわりや想いを肌で感じることができた1日でした。
大塚は初めてでしたが、この街を知ることができて良かったし、石川さんに教えていただいた魅力もまだまだ堪能しきれてないので、また訪れたいなと思いました!

ユキナさんが着ているのは、200円で貸し出している部屋着「OMOTシャツ」!こうしたちょっとしたアメニティも、旅のテンションを上げてくれます。
ユキナさんが着ているのは、200円で貸し出している部屋着「OMOTシャツ」!こうしたちょっとしたアメニティも、旅のテンションを上げてくれます。

 

+-+-+-+ おまけ ★大塚フォトスナップ★ +-+-+-+

『OMO』編

↓お部屋はこんな感じ。

↓朝食は味もボリュームも大満足でした。

↓エントランス〜おみやげコーナー

『大塚さんぽ-昼-』編

↓”OMOレンジャー”石川さんが案内してくれました!

『大塚さんぽ-夜-』編

↓「夜ごはんはどこで食べようかな〜」

↓迷った末、「アガリコ餃子楼」に決定!

↓通りすがりのマジシャン、SHOWTAさんがマジックを披露してくれました!(近くで見てもトリックがわからなかった…。)

↓寝る前に小腹が空いたので、OMO5東京大塚のすぐ近くにある「おにぎりぼんご」へ(笑)。

 

 

SHARE

コーポレートサイト「代表挨拶」より

旅産業は世界で最も大切な平和維持産業

その行方は定かではございませんが、『100年後に旅産業は世界で最も大切な平和維持産業になっている』と私は大胆予測をしています。世界の動きに大きな影響を与えている民意、その民意に少なからず影響を与えるのが旅であるという仮説。国内各地を訪れることで自らの国を深く理解することができる、外国に行くことで他国の文化や豊かさを感じることができる。そして旅をすることでその場所に住んでいる人たちと触れ合い、友人になることができる。『世界の人たちを友人として結んでいく』、それは他の産業にはできない、旅の魔法なのです。

星野リゾートはそういう視点を持ち、次の100年の事業に取り組んでいきます。人と人が国境を超えて理解を深め合うことに貢献することで、国と国が平和を維持する力になっていく。「ちょっと大袈裟だよ」と思うかもしれませんが、次の100年を考える今、私たちの仕事にはそういう役割が託されていると考えたいのです。

星野 佳路

Company Profile

社名
株式会社星野リゾート
設立
1914年 星野温泉旅館 開業 (1995年 株式会社星野リゾートに社名変更)
代表者
星野 佳路
本社住所
長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉2148
会社URL
https://www.hoshinoresorts.com

SHARE