株式会社ユーグレナ/ミドリムシで人と地球を健康に

株式会社ユーグレナ

ミドリムシで人と地球を健康に

今回は、ミドリムシを使った食品の販売やバイオ燃料の研究開発を手がける株式会社ユーグレナの管理部人事課長の永井様にお話をお伺いしました。

株式会社ユーグレナ 永井慎也さんさん

永井慎也さん
大手人材系企業での人事、研修サービス企業での営業や研修講師、ヘルスケア企業での人事などを経験し、株式会社ユーグレナに入社。管理部人事課長を務めている。

「ミドリムシ」という意外性。それがビジネスチャンスになった。

―本日はよろしくお願いします。まず始めに、ユーグレナ様の事業内容について教えてください。

永井:

大きく二本柱ありまして、ヘルスケア事業とエネルギー・環境事業を行なっています。ヘルスケア事業では主に一般食品や健康食品、そして化粧品の製造・販売を行っています。一般食品は、「飲むユーグレナ」などのドリンクやクッキー、健康食品「ユーグレナの緑汁」という粉末飲料やサプリメント、化粧品はスキンケアライン「one(ワン)」シリーズが代表的ですね。エネルギー事業では、バイオジェット燃料とバイオディーゼル燃料をミドリムシと廃食油[1]を原料として生産すべく、研究開発をしています。

―ユーグレナの商品はどこで販売されているのでしょうか?

永井:

ドリンクなどの一般食品は、基本的にオンラインを通じて購入できるだけでなく、全国のスーパーやドラッグストアで販売しています。まだまだ販売場所や商品が限られているので、もっと皆さんが手に取っていただけるよう、より多くのお店で販売できるようにしていきたいと考えています。

―ミドリムシというと、ちょっと抵抗を感じる人もいるのかなと感じたのですが、いかがでしょうか?

永井:

ミドリムシはワカメや昆布と同じ「藻」の一種ですが、名前に「ムシ」とついているので、抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、私たちが尊敬する企業の1つにヤクルトさんを挙げていますが、「ヤクルト」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?きっと、「健康に良さそう」というイメージがパッと浮かぶと思うのですが、元は「乳酸菌 シロタ株」という菌が体に良いというお話なわけで、乳酸菌を飲むということが「健康に良い」というイメージの浸透に成功しているのです。私たちも「ミドリムシが健康に良い素材」だと認識していただけるよう、しっかりとお伝えしていきたいと考えています。

―ちなみに、海外でも展開しているのですか?

永井:

海外では、中国に進出しています。日本で弊社のミドリムシの商品が伸びた理由にはやはり「ミドリムシ」という言葉の響きのインパクトの強さがあります。「ミドリムシ・・、それ、食べるの?」という意外性が話題になってメディアに取り上げていただいた時期には、知名度が一気に上がりました。一方、ミドリムシを中国語にすると「緑藻虫」で、中国では「虫」という言葉は健康に良いイメージがあるので、日本同様で浸透しやすいのです。またマーケットの規模も大きいため、まずは中国に展開しています。

―「ミドリムシ」はインパクトもある反面、製品を営業するというのも、最初は大変だったのではないでしょうか。

永井:

そうですね。特に最初はどこも取り合ってくれず、そこから何とか事業拡大できたのには2つきっかけがありました。1つ目は伊藤忠商事さんの存在です。それまで実績不足で断られていた中、「実績がないからこそ、初めてだからこそやるんだ」と言ってくださいました。出雲が501社目に営業した会社でした。伊藤忠商事さんをきっかけに、他の会社との話も進むようになりましたので、とても感謝しています。もう1つのきっかけが、日本科学未来館さんが、私たちの商品を「未来の食」のコーナーで取り上げてくださったことです。「ミドリムシクッキー」というあえてインパクトある名前で販売したことで、メディアの注目を集めて話題になりました。この2つのきっかけのおかげで、今では様々な企業とお取引やコラボレーションをしています。

創業からずっと「人と地球を健康にする」取り組みをし続けてきた

―ユーグレナさんの創業に至った経緯を教えてください。

永井:

ユーグレナのはじまりは、社長の出雲が学生時代にバングラデシュへ行ったことがきっかけです。出雲は、現地の子どもたちが単純な食料不足ではなく、栄養失調であることに気づきます。帰国後、ドラゴンボールで言う「仙豆」のように、それ一つで完全に栄養を得られる食品を探しいたところ、同じ大学にいた創業メンバーであり現在執行役員研究開発担当の鈴木との会話の中で、ミドリムシを使うという発想に至りました。ミドリムシは動物でも植物でもあるので双方の栄養を摂れる、まさに仙豆的な存在だったのです。

―そこから今エネルギー事業にも発展しているのには、どういった背景があるのでしょうか。

永井:

元々、石油が将来的に枯渇すると言われる中で、代替エネルギーの原料が探されていました。そのような中とあるきっかけで、航空会社からの要望を受けてミドリムシの燃料に関する研究を本格的にスタートしたのがきっかけでした。石油を使うということは、何億年も前から地中に眠っている二酸化炭素を掘り起こして大気中に解き放つことになりますので、地球にとって良いはずがありません。そのため、「人と地球を健康にする」という理念を掲げている弊社がこの事業に取り掛かるのは自然な流れでした。

―いま出てきました「人と地球を健康にする」という理念は社員の方々にも浸透しているのですか?

永井:

euglism(ユーグリズム)という社訓を設けていてこれを通して浸透を図っています。これはユーグレナの仲間として在るべき姿を10か条で述べているもので、ユーグリズムを記載した冊子を仲間全員が名刺入れに入れて持ち歩く、週一回の朝会で「今週のユーグリズム」としてユーグリズムにまつわるエピソードを話す、といった施策で、社員全員に行き届くようになっています。今年で弊社は13年目に入るので、様々なバックグラウンドを持つ仲間が加わり、会社に多様性が出てきています。それぞれが違う価値観を持って入ってきているからこそ、皆で同じ認識を持つことが大切なんです。

売り方にもユーグレナらしさを

―お客さんがユーグレナ様の商品を手に取る時、どういったところに惹かれて購買に至っていることが多いのでしょうか。

永井:

ユーグレナの機能性や栄養素が豊富なところに惹かれてご購入いただくケースが多く見られますが、人によって様々です。ただ、これは株主様にもよく見られることなのですが、「応援したい」というお声をよく頂きます。それは、「人と地球を健康にする」という理念をしっかり発信していたり、ユーグレナの取り組みや雰囲気などによって生まれているのかな、と思います。

―実際にどのようなところに、ユーグレナさんならではのこだわりはありますか?

永井:

こだわっている点として挙げられるのは、売り方の工夫です。弊社は東大発ベンチャーですので、エビデンスに拘った商品を展開しています。お客様に本当に良いものを届けたい。だからこそ、その商品を愛用し続けることでお客様が健康になることを大事にした商品開発に力を入れています。決して広告宣伝だけに頼った売り方はしていません。広告表現に関する規制も厳しくなってきていますが、私たちとしては、その変化はお客様にとって良い変化であり、今後もその方向で進むことが望ましいと考えています。真剣にお客様に向きあい、本当に良い物を提供していく。それは「人と地球を健康にする」ことにこだわっているユーグレナらしさかなと思います。

―それはすごいですね!ただ、ビジネスの中でそれを行うのは容易ではありませんよね・・。

永井:

そうですね。攻めた広告表現をしている会社がある中で、それを実行することは本当に難しいですね。やはり売上が減るリスクはありますし、社員の給料を下げることもしたくありません。このジレンマがあるので、企業のほとんどは、社会的意義に関しては一旦後回しで利益を出すことに集中するか、もしくは数字をあまり見ずにありたい姿だけ向かうため利益を出せず拡大できないか、そのどちらかに寄り切りがちだと思います。私たちはその双方を一致させたいと思っています。この資本主義の社会の中で、しっかりと利益を出して規模化していく、それと同時に本来的に在るべき姿を示していきたい。そうでないと在るべき姿に関して私たちが発する言葉に説得力は出ないのです。欧米の企業では基本的に、研究開発費と売上に強い相関があります。研究開発にたくさんのリソースを割けば、その分実績につながるということです。それが日本だと、研究開発費よりも広告宣伝費が売上と強い相関を持っています。表現でお客さんを獲得することに長けている会社が売れていくのですが、私たちはしっかりと研究開発をし、それを適切に伝えていきたいのです。ただ、その中でもしっかりと売上を出し規模化していくことが大切です。それをできずに正しいことだけ主張しても、それは負け犬の遠吠えになってしまいますから。これが今後の課題にもなってくると思います。

―利益も社会的意義もどちらも大切ですもんね。ただ、ユーグレナさんはこれまですでにかなりの実績を出してきているようにも思えるのですが。

永井:

これまでを振りかえってみると、たしかにその両立が全くできていなかったわけではないと思います。ミドリムシが珍しさで興味をお持ちいただけたことがいままでとても強いインパクトになって売上を出すことができていました。ただ、ミドリムシの存在認知が広まったときに本当の実力値が問われます。費用対効果だけで購入するのではなく、お客様が皆そこにもっと深い価値を見出してくださるかが鍵になります。例えばユーグレナグループの売上の一部をバングラデシュの支援に回しており、商品にはそれが分かるマークが付いています。そんな商品を見た時に、他の野菜ジュースより値段が高くても価値を感じ、共感していただけるかどうか。そういった購買活動がもっと行われるような社会にしていけたらいいなと思っています。今、海外では飛行機にバイオ燃料が使われることがありますが、そうすると飛行の費用は高くなってしまいます。それでも喜んでバイオ燃料で飛ぶ飛行機でのフライトを選ぶお客様がいます。こういった単純な市場原理のみに縛られない姿が気持ちいい社会だと思うので、そういった購買活動の普及を目指しています。

一人ひとりに適した健康を目指す

―今後のビジョンを教えてください!

永井:

これからとしては、ナショナルブランドメーカーになっていきたいという思いがあります。少し先ほどのお話と被りますが、通販会社の一つで終わるのではなく、どこに行ってもユーグレナの商品を手に取ることができ、どの家庭でもユーグレナの製品が飲まれたりしている状態を作りたいです。

―その先にどのような社会を目指しているのでしょうか。

永井:

経営理念でもある、「人と地球を健康にする」という世界を目指していきたいというのは常に変わらずあります。

そうして考えていくと、例えば遺伝子解析などを通じて、より一人一人にオーダーメイド化された食品などを提供できる日もそのうち来るかもしれません。「ユーグレナの緑汁」を注文したお客様に、実は目的のためにもっと違う商品が最適なのであればそちらをおススメしてお届けする、ということができたら、人と地球をより健康にできる。この人生100年時代において、健康寿命をできるかぎり伸ばすことに貢献できると思います。

[1] 外食事業者や家庭などから出る使用済みの油。

経営理念

人と地球を健康にする

企業ビジョン

バイオテクノロジーで、
昨日の不可能を今日可能にする

ユーグレナブランド指針

【革新】
社会に対して先進的であるか
最善を目指した革新があるか

【テクノロジー】
事業、製品、サービスの根幹に
テクノロジーを感じられるか
テクノロジーで人と地球を
健康的にしようとしているか

【感動】
事業、製品、サービスを通じて
世界に感動を与え続けているか
感動を生み出すために
研鑽する志があるか

行動指針「ユーグリズム」

①多様性を楽しむ
自らの価値観にこだわらず、様々な価値観を受け入れ、多様性を楽しむ。

②ミドリムシ愛
私たちのアイデンティティ。ミドリムシを愛し、ミドリムシの可能性を信じる。

③あ・た・ま
いつでも「明るく楽しく前向きに」物事に臨む。

④地球を健康に
地球環境の改善を目指す企業として、商品、活動は常に地球環境に配慮する。

⑤オーナーシップ
ユーグレナ社は誰かの会社ではない。私たちの会社。自ら価値を創造し、価値を共有する。

⑥常に最新、常に一番
「過去に無い取り組み」「何かで一番」を常に考え、挑戦する。

⑦自己責任
思い通りにならないときは、まず自分の責任と考えて考察する。人のせいにはしない。

⑧「今」に感謝する
今が当たり前ではない。共に働く仲間や、当社を支えるステークホルダーに感謝の気持ちを持つ。

⑨チームシップを目指す
仲間一人一人がお互いを理解・尊重する。そのために個人が成長し、必要なマナーを習得する。

⑩健康的に生きる
人を健康にするために、健全な判断や思考で仕事をするために、自らが健康でいること。

Company Profile

社名
株式会社ユーグレナ
設立
2005年8月9日
代表者
代表取締役社長 出雲充
資本金
54億2,424万円
事業内容
1.ユーグレナ等の微細藻類の研究開発、生産
2.ユーグレナ等の微細藻類の食品、化粧品の製造、販売
3.ユーグレナ等の微細藻類のバイオ燃料技術開発、環境関連技術開発
4.バイオテクノロジー関連ビジネスの事業開発、投資等
本社住所
〒108-0014 東京都港区芝5-29-11 G-BASE 田町2・3階
会社URL
https://www.euglena.jp/