株式会社コークッキング/人間らしく創造的な暮らしを、食を通じて実現する。

株式会社コークッキング

人間らしく創造的な暮らしを、食を通じて実現する。

昨今、AIの存在は人間の脅威だと話題である。今この記事を読んでいる皆さんも知っているように、AIは私たちよりもはるかに計算能力が高く、効率の良さという点では人間を凌駕すると言われています。では、人間がAIに勝るものは一体何でしょうか。人間らしくあるとはどういうことなのでしょうか。

今回お話を伺ったのは、食を通じたイベントの開催やフードロス問題を緩和するためのフードシェアリングサービス “TABETE” などを運営する株式会社コークッキングさん。コークッキングさんの掲げるビジョン “誰もが「人間らしく創造的な暮らし」を実現できる社会を支援します。”に込められた、人間らしくあることの本質とは。

株式会社コークッキング 伊作太一さんさん

伊作太一さん
2017年 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科修了。2015年、大学院在籍中にコークッキングを起業。暗黙的な知識や価値を言語化することでコミュニティ内の対話と発想を活性化するスペシャリストである。同手法とその思想を食の文脈に応用することで、日々の食の選択に豊かなアイデアと納得感を生み出す様々なしくみやツールを制作している。

フードレスキューってかっこいい。
そんな文化を日本につくりたい。

―本日はよろしくお願いします。早速ですが、事業内容について教えてください。

よろしくお願いします。私たちは3つの事業を行っているのですが、まず1つ目がワークショップ事業です。これは企業さん向けの事業なのですが、企業の方と話しながらその企業らしい料理を作ってもらうという内容です。

―企業らしい料理…。どういったものになるでしょうか?

「企業らしさ」って普段言葉にされてなかったり、言葉にされていてもいまいちわかりにくかったりするじゃないですか。でも、どの企業にも必ず暗黙的に共有されている文化やらしさがあると思うんです。それを改めて言語化し、さらに料理に落とし込むことによってによって「その企業らしさ」が目に見えて、わかりやすく表現されるんです。チームビルディングにも有効です。たとえば、目指すビジョンや想いはしっかりと共有された上で、個々の多様性を非常に重んじている会社さんが餃子を作ったときは、中身の具は同じだけど包み方がすべて違うという餃子がアウトプットとして出てきました。

―それは面白いですね!

一社だけでなく、いろんな企業さんを集めて同じ料理を作ってもそれぞれ違うものになりますからね。それで他社の料理を見て「あ、あそこの会社はこういう会社なんだな」って理解できるじゃないですか。あと、ご飯一緒に食べると親睦深められますしね。

―いいですね。やってみたいです!

ぜひ!ちなみに2つ目の事業であるパターン・ランゲージ事業も普段言葉にされていない、個人の頭の中だけで完結しているものを言語化してわかりやすく他者に伝えるっていう面ではワークショップと近いものはありますね。

―では、3つ目の事業であるTABETEについて教えてください。

一般的な言葉で言うと「フードシェアリングサービス」というものですが、要はフードロス問題に対してのソリューションです。具体的には、飲食店さんの閉店間際の時間帯に売れ残っていて仕方なく捨ててしまうメニューをマッチングによって最後まで消費者さんに届けるというものです。

アプリ上で飲食店さんが余っている食品を(通常価格よりお得な価格で)アップすると、それを見ているユーザーさんがいて、マッチングが生まれるという形です。

▲TABETEはGOOD DESIGN賞2019にてBEST100に選ばれています。
▲TABETEはGOOD DESIGN賞2019にてBEST100に選ばれています。

―とてもいいサービスですね!TABETEは、どのようなきっかけで始まったのでしょうか?

そもそも僕たちは社会問題を研究していたり、飲食業界で働いていた経験があったので、食における課題解決や食の多様性を次の世代に繋いでいきたいという想いがあり、フードロスの問題に行きつきました。フードロスの課題を解決するには、大元である生産者さんを支援していく必要があり、同時に生産者さんを支援したいという人もいるんです。ですので、その両者を僕たちが繋ごうと思って、最初はフードロス問題を取り扱ったイベントを開催していました。

具体的には「ディスコスープ」という、生産者さんのところで出た規格外野菜(二股になってしまったり、ぼこぼこしてしまった野菜など)を使って一緒に料理を作って食べるイベントで、参加した人が食やフードロスについて考えるきっかけになったらいいなと思ってやっていました。でも、一回一回非常にコストがかかる割には、伝えらえる人に限界があり、本当に解決に向かっているのだろうかって疑問があったんです。そこで、もっと根本的な解決策を模索しました。

―イベントは準備も片づけも体力使いますもんね。

そんなある時、代表の川越が北欧の「Too Good To Go」というサービスを見つけてきました。これは、利用者さんがヒーローになって食品ロスを救おうというコンセプトで、これに刺激を受ける形でスタートしたのがTABETEです。

私たちはこのTABETEにおいて、食品を「買う」とか「購入する」と言わずに「レスキュー」するという言葉を使っています。「売れ残ってしまったものを買う」という行為を「なんかいいことしてるじゃん!」を超えて、「フードレスキューってかっこいい!」と思えるカルチャーをつくっていきたいと思っています。

―新しいサービスなので、困難などがあったんじゃないでしょうか?

確かに忙しくはなりましたけど、いつかはこのように本気で課題解決に向き合わないといけないって思っていたのと、もともと川越も僕も変化を好む人間なのでなんだかんだ楽しんでいます。

ただ、TABETEを始めたばかりの時は、加盟店探しには苦労しましたね。様々なお店に地道に声をかけ、TABETEというサービスが行おうとしている意義を伝えていきました。ある時、世間でフードロス問題が話題になり始めて、ガイアの夜明けで取り上げられてから、一気に広がっていった感覚があります。

食を通して人々の創造性を支援する。

―そもそもコークッキングさんは、どのように立ち上がったのですか?

僕はもともと大学院で様々なものに対する問題解決を考えていたのですが、あらゆる人の生活に最も密着した行為は食べ物だと思い、食で問題解決をしていこうと思ったことが始まりでしたね。

―人間を作る基盤は食ですからね。

だからこそ食べ物は僕たちに様々なきっかけを与えてくれ、創造性を引き出す手伝いをしてくれるのではないだろうかと。

―創造性、ですか?

最近何かとAIが話題ですが、人間らしく生きるって「何かをやりたい」っていう気持ちだと思うんです。そういった気持ちをずっと持ち続けるのを助けてくれるのが食であり料理だと感じています。なぜなら、料理とはいまある食材を頭の中で組み立てて、問題発見・解決の繰り返しだからです。そして色んな料理で、一つの食卓がデザインされているんです。これって、とても創造的じゃありませんか?

またそれだけでなく、自分の消費のあり方や生きていく上での価値観が一番反映されるのも食だと思います。ですので、自らの食をどれだけ考えているか、創造的であるかは、弊社のMISSIONでもある“『食』を切り口に、考える様々なきっかけを提供し、「人々の創造性」「コミュニティの多様性」そして「心身の健康」を促進します。”というところに深く通じています。

―すごく腑に落ちる感覚があります。

AIだって必要とする人間がいるから存在する。人間がいなければAIの意味もないと思います。

日本の食の多様性を守る
応援団長でありたい。

―コークッキングさんが今後行っていきたいことは、どんなことでしょうか?

具体的なところでいうと、レストラン以外でのフードロス問題を改善していきたいですね。たとえば工場とか流通の段階。流通段階でけっこう規格外の材料とかでますからね。

―お店に届く前に選別されていますもんね。味は変わらないのに、ちょっと形がいびつなだけで捨てられるって悲しいですよね。

そうなんですよ。そのうえで、いい消費を提供できる実践の場としてレストランを持つのは夢ですね。

―いいですね。ちなみに「こんな世界になったらいいなぁ」というのはありますか?

いまって場所も時期も問わずなんでも買えちゃうじゃないですか。その土地ならではのものや旬がわかりにくくなっていると思うんです。だからそういうことも意識して食材を選べたらいいですね。

―確かにトマトとか一年中売っていますもんね。

そうですね。あとは、「なぜそれを食べるかをちゃんと考える」人も増やしていきたいと思っています。「今日は仕事疲れたな、スーパーのお惣菜買っていくか」でもいいし、「最近お肉ばかり食べてたから今日は野菜をたっぷりとろう」でももちろんいい。なんなら、「次の予定まで時間が無いからファーストフードでいいや」というのも、時にはありだと思います。でも、そこに「自ら考えて選んでいる」意識を持ってほしいと思うんです。とはいえ、毎日考えるって疲れるので、無理なく続けられる持続可能性のある仕組みづくりのお手伝いをしていきたいですね。

あと、日本は本当にフードロスについて真剣に考えてほしい。食品自給率が低いのに、ロスが多いと「日本に売らずに海外に売ったほうがいい」ってなってどんどん食の多様性がなくなって、いつか食べられなくなってしまう食材が出てきます。けど、あんまりうるさく言っても疲弊しちゃうから、みんなの応援団長として「こうすれば明るい未来が待っているよ」という励ましをしていきたいですね。

〜編集後記〜
AIの得意とするのは1から100を出すことである。すでに1という基盤がなければAIは働かない。対して人間は0から1を生み出すことが可能である。しかもAIの出す100はすでに人間がこの世に生み出した既存の100であり、新規の100ではない。しかし人間は新規を生み出すことができる。それが「創造性」である。今回のお話でコークッキングさんは「創造性」が大事であると強く伝えてくださった。なぜその食材、料理を選ぶのかを考え、それが何かに気付く糸口になることを私もこれから意識していこうと思う。

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VISION

誰もが「人間らしく創造的な暮らし」を実現できる社会を支援します。
We leverage a society where all individuals can nurture a creative and humanlike life.

コークッキングが考える【人間らしさ】とは、シンプルに、人間として「やりたいことを実現すること」です。やりたいことを実現するには、ただ制約を取り払った自由な状態をつくるだけでは叶いません。真の自由を得るためには、やりたいことを実現するための能力が必要になります。

もちろんそれはときに、説得的なグラフィックを描いたり、複雑なコードを組み立てられたりといった「スキル」 が必要になる場合もあります。

しかしそれ以上に重要なのは、臨機応変に、自分たちにとっての最適解をつくっていく能力です。ただスキルを持っているだけでなく、抽象的に物事を捉え、問題を解決していける、やわらかいスキルを発揮できる個人やチームこそ、私たちは真にやりたいことを実現する【創造性】を持っていると思っています。

つまり私たちは、【創造的】に活動することは【人間らしく】ある事の本質だと思っています。

世の中の価値や真実が多様化の一途をたどる中、身の周りの状況は目まぐるしく変化していきます。こうした「正解」がない状況で、閉塞感や疲弊感に苛まれないようにするためには、自分たちで考えて、「納得」のできる判断を重ね、ときには折り合いをつけながら、自分たちの生き方をデザインしていかなければなりません。

こうした個人やコミュニティの【創造性】、ひいては【人間らしさ】の実現に、私たちは尽力しています。

OUR MISSION

『食』を切り口に、考える様々なきっかけを提供し、「人々の創造性」「コミュニティの多様性」そして「心身の健康」を促進します。
We use food and cooking to create ample opportunity for dialogue and thought, fostering creativity, diversity, and well- being of individuals and communities.

「食」は私たちの生活にもっとも密着した行為であると同時に、多種多様なテーマにつながる「入口」にもなります。私たちは、「食」は世の中の様々なテーマについて考えるきっかけや、新たな可能性への気づきを提供してくれるツールになると信じています。

「今日は何を食べようか」

その時の元気やお金、時間の余裕を踏まえながら、自分の価値観と照らし合わせて、一番「納得」できる食事の選択を導き出す。日々、何気なく、ときに無意識に繰り返しているこの判断には、私たちの価値やその基準が凝縮されています。

食は誰にとっても一つの楽しみであり、しかも食べることは毎日のことだから、こうした思考力や判断力を無理なく培うのにピッタリです。

さらに、食は私たちの心身の健康に直接貢献するとともに、食のまわりにはコミュニティが自然と生まれます。
おいしいものを食べたいという気持ちがみんなをハッピーにし、コミュニケーションが活性化され、様々なアイデアやストーリーも生まれます。

私たちのミッションは、こうした食のよい効果を最大限まで引き出すことでもあります。

Company Profile

社名
株式会社コークッキング
設立
2015年12月1日
代表者
代表者 川越一磨
資本金
1億2,250万円(資本準備金含む)
事業内容
パターン・ランゲージ制作事業
イベント・ワークショップ事業
フードシェアリング事業(TABETE)
本社住所
〒106-0047 東京都港区南麻布3丁目3−1 麻布セントラルポイントビル 3階
会社URL
https://www.cocooking.co.jp/

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